多くの園で行われている保育中の散歩ですが、どんな目的や理由があるか知っていますか?なんとなくわかっているけど、と思われる保育士の方も多いはずです。
そこで、今回は保育園で保育中に散歩を行う目的や理由について具体的に解説いたします。また、散歩でのトラブルについても紹介し、未然に防ぐために、また、万が一起こってしまったときの速やかな対処の方法もお伝えいたします。保育中に散歩をしたいと考えている保育士の方にとって役立つはずです。ぜひ参考にしてください。
子どもたちの大好きな保育園での活動のひとつに散歩があります。そのため、多くの園で散歩を実施しているのではないでしょうか。では保育園における散歩はどのようなねらいがあるのでしょうか。ここでは散歩のねらいについて具体的に解説していきます。散歩の機会をただなんとなく活動するのではなく、目的やねらいを持つようにしてみましょう。
子どもたちにとって、たくさん身体を動かすことは心も一緒に育むことのできる大切な活動です。散歩で公園に寄ってみたら、いつもと違う遊具で子どもたちはたくさん身体を使って遊んでいたなどということもあるでしょう。
お昼前の散歩はお腹を空かせ、給食の食欲を誘います。お腹がいっぱいになることで、しっかりと午睡も取れます。全身を使えるような公園であったり、少し長い距離を歩いたりと、ねらいを達成させるために保育士は散歩に工夫が必要です。その工夫こそがねらいを達成することへの鍵ということになります。
散歩によって園外にでることでより季節を強く感じられます。バラのたくさん咲いている場所では香りも同時に楽しめますし、桜の木が多いところでは桜吹雪を体験できます。また、セミの鳴き声を聞いたり、落ち葉で山を作ったり、とダイナミックな遊びもできます。雨の日にレインコートを着て散歩に出かける園もあります。自然や天候を体験することで、より季節を感じることでしょう。
散歩をしていると、たくさんの大人に声をかけてもらうことがあります。「こんにちは」や「どこに行ってきたの?」などと保育園の中では会えない人たちとの出会いもあります。さらに警察官や宅配業者の人など、さまざまな仕事をしている人たちを見ることもあるでしょう。
このような出会いは子どもたちの社会性を広げることにつながります。さらに、みんなで歩調を合わせながら歩くことで、みんなと合わせる協調性を身につけられます。このように散歩によって人との関わりを自然に学べます。
散歩で園外を歩くことは交通ルールを守ることの大切さを知ることにもなります。散歩では歩道を歩き、信号を守ることや歩きながらふざけないように声がけします。
散歩によって一生を通して守っていく交通ルールを知ることがねらいです。ねらいを達成するために保育士は散歩中に子どもたちに言葉や態度で交通ルールを教えていく必要があります。ぜひ散歩によって社会のモラルや交通ルールを伝えていきましょう。
ねらいを持った散歩活動はもちろん大切ですが、その他に子どもの様子や子どもたちへの配慮について知っておくこともとても大切です。ここでは散歩中にみられる子どもたちの様子を具体的に解説するのと同時に子どもたちへの配慮について成長段階別にお伝えしていきます。
保育士の抱っこやベビーカーで散歩を行うことが多いのが乳児の散歩です。風や光を感じたり、室内とは違うことを環境を通して体験します。歩き始めると先生と手をつなぎ散歩を行います。1歳は歩くこと自体が楽しい活動です。2歳ぐらいになるといろいろなものに興味を示します。どの年代も保育士と応答的な対話を楽しみながら散歩を行うといいでしょう。みんなで一緒ということより、個人的に関わることを行なってみてください。
散歩中の子どもは花びらや落ち葉などを拾ったり、興味のあることに対して、保育士にたくさんの質問をしてきます。虫や花の名前が分かる図鑑などを携帯してもよいでしょう。また、子どもの行きたい場所へ散歩をするというのもおすすめです。事前に散歩に対しての話し合いなどを行うとより充実した散歩になります。
また、行きたくない子どもを無理に散歩に連れていく必要はありません。子どもの気持ちを重視した保育を行なってみてください。
ここからは散歩を行う際に、どのような準備や安全対策が必要かを解説いたします。子どもにとって楽しい散歩活動がより充実したものになるように覚えておくとよいでしょう。
どんなに近い場所に行く散歩でも、事前の準備は必ず必要です。これは散歩が目的を持った活動であるからです。ではどんな事前準備が必要なのでしょうか。
下見に行くことで歩道の様子や信号の様子を確認できます。たとえ歩き慣れた道でも、急に工事が始まっていて道を変更しなくてはならない場合もあります。そのような事態に備えて事前に下見をしておきましょう。また、いくつかのルートをあらかじめ考えておくことも大切です。さらに公園に向かうのであればその公園の様子を確認しておく必要もあります。
季節の変わり目は天候が変わりやすく、晴れていても急に雨が降ってきたりすることがあります。そのためにも、天気予報の確認はとても大切です。さらに、急な天候の変化に対応するために、実際の天気の気配に注意深くなる必要もあります。天候が変わるとき、急に冷たい風が吹いてきます。空の様子をチェックするなども大切です。また、天気が変わりそうな時には園から連絡をもらってもいいでしょう。
持ち物は周到に準備する必要があります。その中でも救急セットは必ず持って行きます。また、ビニール袋は濡れたものを入れる以外にもいろいろな場面で活躍します。そのためぜひ持っていくとよいでしょう。さらに携帯電話には緊急時に慌てないためにも園や必要な連絡先を登録しておいてください。下記を参考に持ち物を用意しましょう。
保育士同士で散歩の際のルールなどの情報を共有しておくことはとても大切です。歩道の歩き方や信号の渡り方などを統一しておくことで、子どもたちは約束に迷わずに活動できます。安全面についての情報は園全体の共有事項としておくようにします。また、登園時に把握している子どもの様子や状態も散歩にでかける保育士で共有しておきましょう。
散歩に行く際には安全面において、子どもたちと約束しておくといいでしょう。ただし、一方的に伝えるのではなく、子どもたちが納得のいく話し方をするようにします。応答的なやり方でこそ、交通ルールの大切さをより理解できるはずです。
また、4、5歳児のクラスでは、行き先を子どもたちが決める散歩のやり方もあります。前日までに子どもたちとどこに行って何をするのか、どんなことに注意するのか、などを話し合いで決めておくことでより主体的な散歩になります。
散歩の活動をより充実したものにするために一番大切なことは安全対策です。そのため安全に対して不安を感じている保育士も多いはずです。何に注意すべきかを園でマニュアル化しておくことも保育士の不安の解消に役立つはずです。ただ漠然に安全を守ろうというのが一番困るはずです。ここでは具体的にどのようなことに注意すべきかをお伝えいたします。
出発前、活動中、活動後に人数を確認します。保育士は3人以上配置し、お互いに声を掛け合ってこまめに人数をチェックします。公園などに置き去りにしないようにいつも出発前は必ず人数を確認するようにしましょう。
散歩での事故で怖いのは車だけではありません。自転車との接触も大きなけがになる場合があります。自転車と接触しないためにも、自転車が来た場合は保育士が子どもたちに伝えるとよいでしょう。できれば自転車が通りすぎるのを待つぐらいの余裕が必要です。
できるだけ歩道と車道が柵などで分離している道を選ぶことが大切ですが、そのような道ばかりではありません。子どもが車道に飛び出さないために、保育士が車道側を歩きながら誘導するようにします。また、子ども同士で手をつないで歩き、車道に飛び出さないことも約束のひとつとしておきましょう。
道路を渡る際、保育士は最も緊張するのではないでしょうか。そのためにも子どものペースに合わせて渡れる長さの横断歩道をあらかじめ決めておくことが必要です。また、途中で信号が黄色に変わってしまった場合について、渡るのをやめるように子どもたちと約束しておきましょう。
残念ながら大人は全てよい人ばかりではないのが社会です。そのため、不審者対策をしておくことは危険を未然に防ぐために重要です。例えば明るく、多くの人の目がある所では不審者の被害を防げます。死角をつくらないように保育士のポジションはとても大切です。また、不審者を判断する保育士の目も大切です。
どんなに準備をして心構えをしていてもどうしてもトラブルは起きてしまいます。トラブルも小さなものから、大きなものまであります。ここではトラブルに際しての対応についてお伝えいたします。いざというときのために、知識を得ておくことをおすすめします。
虫刺されや転んで足から血が出たなど比較的軽いけがの場合は、塗り薬やばんそうこうなどで応急処置します。頭を強打したり、出血が多い場合は病院へ連れて行きます。また、動かすのも無理な場合はためらわずに救急車を呼びましょう。救急車へ場所をすみやかに伝えるためにもあらかじめ目標や住所を覚えておく必要があります。さらにAEDの場所の把握もしておきましょう。
事故や事件などに巻き込まれてしまった場合、子どもたちをすばやく安全な場所へ避難させなくてはなりません。目の前で起こってしまったことで、子どもたちも動揺している場合もありますので保育士は落ち着いて、子どもたちへの対応をしましょう。声のトーンを抑えるだけでも、落ち着いた話し方になります。
事故はもちろん、不審者の被害など、相手がいる場合には警察を呼ばなければなりません。警察への対応をすると保育士の数が足りなくなることも考えられます。必要であれば園に連絡をして応援を頼むことも考えてください。また不審者については警察に連絡するのが一番の解決策です。
散歩から帰ったら小さなけがをはじめ、全て園に報告しなければなりません。園から保護者の方へ報告することで、保護者の方からの理解を得られるようになります。また、散歩についてもふりかえりをしておくことが次の散歩の充実につながります。振り返りを含めノートなどに記入しておくことで、次に同じ場所の散歩をするときにとても役立ちます。
園外での活動は子どもはもちろん、実は保育士にとっても楽しい活動ではないでしょうか。もちろん事故やけがを考えると不安な点もありますが、子どもたちにとって散歩の経験は本当に大切なものです。絵や本で知っているのではなく、実際に体験する価値の方が大きいのです。
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