0~2歳児などの乳児の保育をおこなう乳児保育。近年は女性の社会進出による共働き世帯の増加によって、乳児保育の需要が高まっています。乳児保育をおこなう保育士は、通常の保育士と何が違うのでしょうか。乳児保育の仕事の内容はどういったものなのか知らない方もいるはずです。
そこで今回は、乳児保育とはどういう保育なのか、保育の特徴と仕事の内容を紹介します。また、乳児保育の保育士として働きたいと考えている方に向けて、乳児保育のメリットについても併せてお伝えします。乳児保育について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
乳児保育とは0~2歳児の子どもに対しておこなう保育を指します。児童福祉法で「乳児」とは、「1歳児未満」の子どもと定義されています。ただし、保育園などでは、3歳未満の子どもを「乳児」としている園も多く、乳児保育と呼ばれています。
【参考】児童福祉法
では乳児保育での仕事内容とはどういうものなのでしょうか。保育士の専門性のひとつとして、子どもの発達を理解していることが挙げられます。そのため、一人一人の発達に応じた保育をおこなうことができます。同時に乳児保育としてねらいを持つことも必要です。
指針をもとに、自分たちのおこなっていることが、乳児保育にふさわしいものかも確認してみることが大切です。これらをふまえて、ここでは乳児保育でおこなうこととはどのようなことなのかを、具体的にお伝えします。
乳児保育における保育の領域や目指すねらいとはどういうものなのでしょうか。0歳児の保育内容の領域を例に挙げ、解説していきます。
これからお伝えする、指針に書かれている3つの視点の区別はとても曖昧ですが、乳児保育の場合はこの3つの領域をうまく合わせながら保育をしていくことが大切です。同じように1歳児以上3歳児未満についても保育に関わるねらいがあります。
保育所保育指針が改正されたことで、年齢に応じてねらいが細分化されました。改正によって、より保育に対してねらいを持ちやすくなったはずです。ぜひ保育をする前に保育指針に目を通しておきましょう。
【参考】保育所保育指針
子どもにとって安全安心な場所は何よりも大切です。安全安心な環境の中ではじめて子どもたちは心身ともに健康で育つことができます。さらに快適な環境は心地よさを感じることができます。このような環境の中で遊んだり、食事をしたりすることは成長に伴い、自分自身で健康で安全な生活を作り出す基盤を培っていくのです。
乳児保育の基本的事項には「愛情豊かに、応答的に行われることが特に必要である」という記載があります。乳児は自分にとって心地いい人との経験をもとに、情緒の安定を確保します。愛着のある信頼関係を築くためにも保育士は子どもにとって安心できる基地のような存在になる必要があります。
保育士が子どもの発達に応じたものを用意することで、子どもは興味関心を持ち、部屋の探索へと行動範囲を広げていきます。好奇心を持ち、また、そのことを表現できる関係を築いていくことが大切です。そのためにも一緒に遊ぶ、子どもの気持ちを受け止める保育を行うようにします。
【参考】保育所保育指針(◆平成29年03月31日厚生労働省告示第117号)
ここからは乳児保育で実際におこなう仕事の内容について解説していきます。乳児保育の保育士を目指すときに仕事の内容を知っておくことはてても大切です。ぜひ参考にしてください。
乳児は自分の意思を伝えることがまだ難しく、食事に関しても保育士に用意をしてもらう必要があります。そのため乳児保育では保育士は責任をもって食事の世話をしなくてはなりません。食事の際には「おいしいね」や、「おなかいっぱいかな」などの言葉を添えることを忘れないようにしましょう。
乳児保育ならではの仕事にはおむつ替えや沐浴があります。特におむつ替えは1日に何度も行わなければならない仕事です。そのたびにおむつかぶれをはじめ、便の状態などもチエックしなくてはなりません。
2歳頃になると、トイレトレーニングも必要になってきますが、最近では強制的におむつを取ることも少なくなってきています。保護者の方の気持ちと連携をしながら慎重に取り組むといいでしょう。
乳児の睡眠の確保もとても大切な仕事です。心身ともに健康な生活には生活のリズムが必要です。毎日同じリズムの生活習慣を身につけることで、安定した成長を手助けできます。ただし、0歳児などはひとりひとりに合った生活のリズムを重視します。無理にお昼寝をさせたりしないようにしましょう。
保育士は遊んでいるだけで楽な仕事だと思っている人がいますが、そうではありません。保育士は子どもの発達に合った遊びを提供できます。さらに、子どものことを経験だけでなく、知識として知っています。自分の担当する子どもたちの「今」をよく理解し、子どもにより大きな経験値を与えてくれる遊びを考えることは保育士の大切な仕事です。
子どもの保育をするだけが乳児保育の仕事ではありません。今日の様子を保護者の方に伝える記録作業をはじめ、月案、週案、日案と記録として文字にして残すことも大切な仕事のひとつです。保育業界もICT化がすすみ、入力作業が楽になった反面、決められた場所でしか作業ができないなどの制約もある園もあります。効率よく仕事ができるように自分のスケージュールを管理することも大切です。
【参考】厚生労働省 保育所保育指針
人としての基盤をつくったり、養護の面が多い乳児保育のため、難しいなと感じてしまう方もいるかもしれません。もちろん保育はすべての年齢において簡単なものではありませんが、乳児保育の担当としてのメリットもあります。ではいったいそのメリットとはどういうものか、ここでは乳児保育のメリットをお伝えしていきます。
保育園に入園したときにはまだ赤ちゃんだった子どもが、2歳児ごろまでに、寝返りをし、はいはい、伝い歩き、そしてひとりで歩き、言葉を話せるようになります。乳児期の成長は大人の何倍も速くあっという間です。
そんな姿を見ることができるもの乳児保育のメリットです。昨日までできなかったことが、今日できるようになっていることも多く、乳児保育は子どもの成長を見逃さずにその成長をともに楽しむことができる保育です。
子どもと時間をかけて向き合うことが多いのも乳児保育ならではの保育のスタイルです。担当している子どもが、先生じゃなきゃ食べない、寝ないなどのこともたびたびあります。子どもと上手に信頼関係を築けたことで、そのような場面で保育士としてのやりがいを感じることができるでしょう。
少人数の子どもとじっくり向き合えることは乳児保育のメリットです。特に、担当制を導入している園では、毎日同じ子どもたちとの保育になるため、より深い愛着関係を築くことができます。子どもとの時間をじっくり、楽しみながら保育できるため乳児保育が好きという保育士もたくさんいます。
メリットも多い乳児保育ですが、実際に保育をする場合には心構えをきちんとしておく必要があります。
ひとつ目は乳児の場合、円滑なコミュニケーションは難しいということです。言葉はコミュニケーションに大切なツールですが、どの言葉を使うべきか、ふさわしい言葉は何かを子どもの発達に合わせて考えておかなければなりません。「ざっくりと」ではなく、慎重に言葉を選び、子どもの気持ちに寄り添えるようにします。
次に子ども同士のトラブルも多く、噛みついたり、たたいたりすることがあるのを知っておきましょう。もちろん月齢が上がってくることでそのようなトラブルは減ってきます。
保護者の方との関係も円滑にしておくことで、トラブルに理解を示してくれることもあります。言わなくても分かってくれるはずなどというのではなく、細かく子どもの様子を伝える必要があるということを覚えておきましょう。
保育をするうえで悩んだり、不安に感じたりしたことは、園長や先輩保育士、同僚などに相談してみることも大切です。園内で風通しの良い関係を築いておくことも意識したいことのひとつです。
保育所保育指針を読み返すことによって、保育のヒントを得られることもあります。今、自分はどんなねらいを持つべきか、困った時はぜひ保育所保育指針を一度読み返してください。
人は生理的早産といって、本来胎内の中で育つ期間より約11ヶ月早く生まれてきます。
哺乳類の多くは産まれてすぐ立って自分でミルクを飲むことができます。しかし、人間の赤ちゃんは、寝る、飲むだけの生活を一年間送るのです。そのことを考えると、納得がいくのではないでしょうか。
そのような中で、乳児保育に来る子どもたちにとって、この世に生まれて、初めて親意外に触れ合う大人が保育士です。そう考えると、乳児保育の保育士はとても責任重大な仕事です。しかし、この世界の良さや人の素晴らしさを教えてあげられるのも保育士です。そのことを考えると保育士はとてもすごい仕事ではないでしょうか。
乳児保育の担当の保育士は子どもたちの1日1日の成長を喜び、子どもたちからたくさんの喜びや感動をもらうことができます。ジョブトル保育では乳児保育の保育士として働きたいかたを応援、サポートします。ぜひ乳児にとってどんな保育士であるべきかを考えつつ日々の保育を楽しんでください。
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