保育士としての仕事のひとつに園だよりの作成があります。忙しい業務の合間に時間をみつけて園だよりを作るのは、本当に大変な作業ではないでしょうか。そして、いざ取りかかろうとしても冒頭のあいさつ文の壁に突き当たってしまう方もいることでしょう。
今回は、保護者の方が目を通したくなるような園だよりの作り方を、季節ごとの文章例を挙げながらご紹介していきます。それと合わせて、園だよりを作るときのポイントや注意点もお伝えいたします。ぜひ園だよりの作成の際にお役立てください。
園だよりにはさまざまな役割があります。最初に、園だよりの役割について解説いたします。園だよりは保育園と家庭をつなぐ大切なツールです。そのため、必ず目を通してほしいことを入園のときに保護者の方に話しておくことが大切です。このことは、小学校に行っても大切になるので、今からおたよりに必ず目を通す習慣をつけてほしいことをお伝えしてください。
保護者の方が一番知りたいことは園での子どもたちの様子です。日ごろの子どもたちの様子を写真をつけて園内に掲示したり、園のブログなどに掲載したりしている保育園も多いですが、毎日それらをチェックするとなると負担に感じる保護者の方もいることでしょう。時間を気にせず保護者の方のペースで手に取って読める園だよりは、子どもたちの活動の様子を伝え、同時に園の取り組みや目的なども伝えることができます。園の保育がとても充実していることを知って、保護者の方は園に信頼と感謝の気持ちをもつことができるでしょう。園だよりの役割は重要であると認識して作成するようにしましょう。
園だよりの大事な役割のひとつは行事予定を伝えることです。行事の内容については詳しく記載します。行事を行う目的や園側の取り組みについても添えるとより充実した内容になるでしょう。
また、保育園では日本の四季を味わうことができる行事がたくさん行われます。その行事を行う意味も合わせて伝えることで、より保護者の方に興味や関心をもってもらうことができるでしょう。
園だよりには、保護者の方に協力してもらいたいことも記載します。保育時に行う製作の材料についてのお願いや、生活面での注意事項など、個人的にお願いしづらいことも、園だよりでなら伝えやすいこともあるでしょう。また、健康管理や感染症についてのお願いも必ず伝えるようにします。家庭、保育園、保育士で情報を共有し、ともに子どもの成長を支える姿勢をとることはとても大切です。そのような姿勢をさりげなく感じてもらえて、保護者の方に安心感をもってもらうのも園だよりの役割のひとつです。
ここまで、園だよりについてお伝えしてきました。いざ園だよりを書き始めても、時候のあいさつをどうすればよいか悩んでしまう人が多いようです。あまり難しく考えるのではなく、季節の移り変わりや、子どもたちが季節を感じながらどのように過ごしているかを書いてみることをおすすめします。
ここでは、どのような書き出しがよいのか具体的に例を挙げながら、季節ごとにあいさつ文をご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。
春のイメージを伝え、新しい学年での始まりを意識した書き出しにしてみましょう。
夏は外で遊ぶことが多い季節です。季節とともに、元気いっぱいの様子を伝えるようにしてみましょう。
季節の移り変わりが視覚で感じられるのが秋です。読んでいる人にとっても秋がイメージできるように書き始めるのもよいでしょう。
冬には子どもたちの楽しみにしている行事がたくさんあります。行事と子どもたちの様子を結びつけながら書き始めてみてください。
書き出しの文章例をご紹介してきましたが、それに続く園だよりの内容も重要です。充実した紙面になるようにするにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。押さえるべきポイントは次のとおりです。
園だよりに書く内容が決まらない、何を書いてよいのか分からないなど、いざ書き始めようとしたら困ってしまったという経験をした保育士も多いのではないでしょうか。そうなると時間もかかってしまい、園だよりを書く負担も大きく感じてしまいます。
その解決法のひとつはメモをとることです。普段からどのような遊びをしているか、遊びにちょっとした変化があったときなどをメモしておきます。それは具体的であればあるほど保護者の心をつかむことになります。レストランごっこをして楽しんでいたら、子どもがきれいな布を持ってきてテーブルクロスにした、積み木でお城を作るため試行錯誤していたら、子どもたちが図鑑でお城を見つけ細かい部分を相談していた、など、子どもたちの工夫やアイデア、変化が分かる内容であるとより読み手の興味を引きつけることになります。また、子どもたちの言葉もメモしておくとよいでしょう。「水が遊んでいるみたい」「にじ色の空を飛ぶととんぼの眼鏡もにじ色になるよ」など、子どもたちの言葉は園だよりのエッセンスになります。忘れないようにメモしておくと、これらが後に大きな助けになるはずです。
保護者の方は保育の専門家ではありません。そのため、園だよりに専門用語は使わないようにしましょう。また、文章は短めにすることを心がけると読みやすさがアップします。ある園では、気軽に園だよりを読めるように紙面をカラフルにし、文字を大きくしたら保護者の方にとても評判がよかったということもあります。
伝えたいことはたくさんありますが、まずは読みやすさを第一に考えてみてください。自分が保護者として園だよりを読むことをイメージしてみるのもよいでしょう。
テンプレートがあればそれを使うことができます。しかし、もし自分でレイアウトするのならば、いくつかのポイントを押さえる必要があります。見出しは読み手の興味を引くようなものであること、文字間や行間は狭すぎないこと、お願い事項と予定は保護者の方の見落としを防ぐためにいつも同じ場所に置くことがポイントです。さらに、保育士のつぶやきコーナーなどを加えることで保護者の方との距離が近くなるでしょう。これらのポイントを押さえてレイアウトを考えると、読みやすく、分かりやすい紙面になります。ただし、レイアウトやテンプレートが決まっているかどうかをまずは事前に園に確認してから作業に取りかかりましょう。
例えば洋服に名前の記入をお願いする場合、その理由をいくつも書く必要はありません。一番大切な理由を短い言葉で書くようにしましょう。簡潔で分かりやすい文章は保護者の方に届きやすいというメリットがあります。また、お願いが多いときは最後に「いつもご協力ありがとうございます」などの感謝の言葉を添えるようにするとよいでしょう。
スケジュールに訂正があると混乱してしまいますよね。遠足や運動会、発表会などの大きな行事の予定に関しては特に注意を払わなければなりません。誤字脱字の確認も大切ですが、それ以上にスケジュールに間違いがないか入念に確認するようにしましょう。
今回は園だよりについてお伝えしてきましたがいかがでしたか。
時候のあいさつでは子どもたちの様子を季節と絡めながら書いてみましょう。可能ならば自分なりにレイアウトを工夫して、見やすくかわいらしい園だよりにできるよう挑戦してみてください。ただし、重要なのは上手な文章でもかわいい絵でもありません。お知らせしたい内容がしっかりと保護者の方に伝わるかどうかです。
最初は先輩保育士が作成した園だよりを参考にするとよいでしょう。焦らずに楽しみながら園だより作りに取り組んでみてください。
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