保育士は求人が多いので、今よりも良い条件を求めて転職をしたいと考えている方はたくさんいらっしゃるでしょう。今回は保育士が転職する理由をみていきます。また面接でどのような転職理由が好感を持たれるかも解説していきます。
これから転職を考えている方はもちろん、転職に関心のある方はぜひ参考にして成功する転職を目指してください。
保育士は国家資格で全国どこでも働くことができます。また、多様な働き方があるため多くの方に人気の職業です。ただ仕事内容は思っている以上に大変なこともあり、転職、離職してしまう方も多いようです。では辞める理由はどんなことなのでしょうか。ここでは保育士が退職する主な理由をお伝えします。
ご存じの通り保育士の給与は決して高いとは言えません。2019年の賃金構造基本統計調査によると保育士の平均給与は24.4万円となっています。
ここから、保険料などを差し引くと手取りは約20万円ほどでしょう。仕事量を考えるとこの金額はあまり見合っていないと考える方も多くいます。給与アップが難しい中で、体力的にも精神的にも大きな負担を抱えてしまうのは、保育士を辞める大きな理由となります。
保育士が不足し、職員数の余裕がない園も増えています。そのため有給をとることが難しく、リフレッシュできない保育士が多いようです。もちろん働き方改革により有給取得が義務化されたため、以前よりは改善されているようですが、人手が足りない状況を目の当たりにしてしまうと、休むことも難しいのではないでしょうか。
また、元気いっぱいの子どもとの生活は、楽しい反面、肉体的な負担が大きいと感じる保育士が多いのも現状です。日々の疲労が解消できず、生活にゆとりを持てないので、精神的にも追い詰められてしまいます。このような過労働が原因で退職してしまう保育士も多いようです。
保育士は子どもの保育だけが仕事ではありません。実際にはデスクワークも多く、連絡帳の記入、保育記録、クラスのお手紙の作成なども保育士の仕事です。また、行事があるとその準備も行わなければなりません。
主な作業は午睡の時間を使うことが多いのですが、それでも時間内に仕事が終わるわけではありません。そのため、残業をしなくてはならないときもあります。このように雑務の多さに悩まされている保育士も多いのではないでしょうか。
また、ICTの導入により時間短縮を目指すこともすすめられていますが、パソコンが苦手だったり、パソコンのある場所でしか仕事ができないなど、不便で時間がかかる場合もあるようです。保育以外の雑務が負担で辞める保育士も多いようです。
保育園では子ども、保護者の方、同僚といつも多くの人間関係を気にしなくてはなりません。残念ながら職場でのいじめや、陰口を経験した保育士も多く、周りの人の機嫌をうかがいながら仕事をするのは疲れてしまいます。
また、園長や主任から自分だけが執拗に叱られてしまう保育士もいます。これは退職理由のひとつになります。保育はチームワークを大切する仕事だからこそ、人間関係は保育の質に直結します。しかし、なかなか解決できないのが人間関係の難しさです。
保育方針は園によってさまざまです。自分のやりたかった保育がその園の方針と違っていた場合、保育にやりがいを持つことは難しいのかもしれません。やりがいを感じられず、転職を考えるようになるのは自然なことです。
転職の際には自分の保育観を大切にしながら、それを尊重できる園を選ぶとよいでしょう。ただし、多くの保育観を知るチャンスと考え、保育方法の違う園を選ぶのも自分自身のスキルアップにつながります。どちらにしても自分の保育観をもう一度考えてみることが大切です。
【参考】賃金構造基本統計調査 2019年
では新しい職場を求めて転職活動をするとき、転職理由はどのように答えればよいのでしょうか。面接での答え方によっては雇用側にさまざまな感情を持たせてしまうため、あらかじめ十分に練習をして、うまく答えられるようにしておく必要があります。
ここでは転職の理由を答えるための具体的なヒントをお伝えします。これらを参考にして面接の準備をしてください。
給与に不満を感じ退職したとしても、そのことを正直に話すのはやめましょう。転職理由はキャリアアップを目指しているなどポジティブな理由に変えて話してみましょう。
たとえば「貴園での研修制度はキャリアップしたい自分にとって大きな魅力であり、ここでなら今までの自分の経験が活かせるはずと考えました」と答えます。こういったポジティブな動機があれば、雇用側にもあなたの前向きな印象を残すことができるでしょう。
たとえ給与に大きな変化がなくても、研修制度が充実していればスキルアップに大いに役立つはずです。保育の質が向上することで、役職につくチャンスを得られるかもしれません。
過労働によって心身が不調になり退職した場合にはその理由を正直に話すことが大切です。新しい園で働いてから再度調子が悪くなった場合、その事実を伝えずに雇用されたことを重荷に感じてしまうはずです。また採用した園も面接時に話して欲しかったと考えるでしょう。
面接では現在の心身の状態を正直に伝えましょう。現在は働ける状態に回復したので、求人に応募したと伝えることで、安心して採用してくれるはずです。
どこの園でも雑務は多いので、これを理由に退職したことを伝えてしまうとあまりポジティブな印象を持たれないでしょう。転職希望先の園では効率のよい仕事を実現したいことを伝え、そのためにはどうすればよいか自分なりの目標を考えておくと良いでしょう。
パソコンのスキルアップは雑務軽減につながるため、積極的に学ぶ姿勢も大切です。パソコンのスキルをアピールできればICTを導入している園への採用の可能性が高まります。
人間関係が原因で辞めた場合はその理由をあえて伝える必要はありません。なぜなら、保育士に限らず、どのような職場でも社会人としてその理由は転職にあまりふさわしくないと思われてしまうからです。
「新しい園での保育理念や保育の方法に魅力を感じた」「こちらの環境の中で保育士として働きたい」などのポジティブな言い方で答えるようにしましょう。
保育方法が違ったことが退職の理由の場合、それをそのまま伝えることはおすすめしません。退職した園の方針について話すことは前園の保育方針を否定することになり、自分自身に対しても悪い印象を与えかねないからです。面接時には園の方針や考え方に近いと感じてもらえるような伝え方をすることが大切です。
面接では好感を持ってもらえるような転職理由の伝え方が大切です。では具体的にどのような伝え方が望ましいのでしょうか。ここで面接のための好感度をあげる転職理由をご紹介します。また、面接では印象を良くするためにも笑顔で受け答えをすることを心がけましょう。この人と一緒に仕事をしたいなと思ってもらえることが大切です。
当たり前のことですが、面接時には適切な言葉遣いが必要です。できるだけポジティブな言葉を選ぶように心がけましょう。転職理由についても前向きな理由を伝えることが大切です。
人柄を疑われてしまうのが悪口です。勤めていた園の悪口は絶対言わないようにしましょう。また、園長同士が顔見知りだったということもあります。自分では悪口のつもりではなくても、受け止める人に誤解を持たせるような話し方にならないように気をつけましょう。
新しい職場でどんな保育をしたいか、どんなスキルアップを目指しているかなどはしっかり伝えておきましょう。保育の夢を語ることは、その人の保育への意欲を知ることができます。自分自身の保育のスキルや得意な点もアピールするとよいでしょう。
保育観はひとそれぞれで、これといった答えはありません。そのために普段から自分の保育観についてよく考えておくことが必要です。また、転職先の保育理念が自分の保育観と合っているのか、合っていないのか、面接前に調べておくことが必要です。
合っていない場合でも、多くの保育観を知るために応募したなどと伝えることが大切です。ただ、自分の保育観に近い職場の方が働きやすくやりがいもあるので、事前に調べておくことは大切です。
できるだけ同じ職場で働き続けることがキャリアップにもつながり、望ましいことはわかっていてもさまざまな理由で転職をすることがあります。そのときこそ、自分がどのような保育を目指しているのかを考えるチャンスです。
待遇についてはもちろんですが、保育方法についても主体的な保育をしたいのか、一斉保育を行いたいのか、ぜひ考えてみてください。転職を通して、自分の保育観が定まっていく、そんな前向きな転職こそが成功する転職なのかもしれません。
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