職務経歴書は過去の仕事内容や実績、保育士として培ってきた知識やスキルをアピールするための書類です。新卒の就職活動時には必要ありませんでしたが、転職を検討している保育士のなかには、どのように書けばよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は保育士の転職活動に役立つ職務経歴書の書き方の基本と、自分の魅力がしっかり伝わる自己PR欄の書き方のポイントを徹底解説いたします。これから転職活動をはじめようとしている方、現在転職活動中の方も、ぜひ参考にしてください。
保育士の職務経歴書とは保育士としての業務経験、培ってきた知識やスキルなどをまとめた、転職時に自分自身をプレゼンテーションするための書類です。
上記のような項目を詳細にまとめ、応募先の保育園に「ぜひ会ってみたい」「ぜひ一緒に働いてもらいたい」と思ってもらえるように作成することが大切です。
転職時に必要な書類には職務経歴書のほかに履歴書があります。混同されがちですが、職務経歴書と履歴書には次のような違いがあります。
履歴書のフォーマットはある程度定型化されており、氏名・住所・学歴・職歴・保有資格などの「必須項目」と趣味や特技などの「任意項目」で構成されているのが特徴です。雇用側は応募者が通勤可能なエリアに住んでいるか、どのような資格を保有しているのかなど、履歴書を通して、応募者のプロフィールを確認します。
また履歴書には顔写真も添付されるため、応募者の第一印象を決める書類としても活躍します。文字にも人柄が現れるため、手書きが好まれる傾向にあるようです。
一方、職務経歴書には汎用的なひな型はあるものの、履歴書ほど定型化されていません。雇用側が応募者のこれまでの業務経験と今後の仕事に活かせるスキルを確認するための書類なので、パッと見ただけでも要点をすぐに把握できるような、見やすく、読みやすい書類作りを心がけることが大切です。
また、職務履歴書は見やすさや複数応募する際の効率などを踏まえて、パソコンでの作成がベストとされています。パソコンで作れば、パソコンスキルのアピールにもつながるでしょう。
ここからは、職務経歴書を書く際に押さえておきたいポイントを具体的にご紹介いたします。
採用担当者は忙しい合間をぬって書類選考を行うため、短時間で「会ってみたい」と思ってもらえるように、職務経歴書のレイアウトは見やすさにこだわりましょう。
見出しやカッコ、太字や下線などをうまく活用すると、文章にメリハリがついて見やすさが向上します。また、実績は箇条書きで簡潔にまとめるのが鉄則です。
以下に避けた方がよい書き方と、見やすさにこだわった書き方の例をそれぞれまとめました。ぜひ見やすさ、読みやすさを比較してみてください。
【避けた方がよい書き方例】
○○保育園に正社員として20XX年4月から現在までの5年間勤務し、0~1歳児の担任を20xx年~20xx年の2年間、3~5歳児の担任を20xx年~現在までそれぞれ1年間ずつ担当しておりました。おもな業務は、連絡帳の記入や日案・週案・月案の作成、クラスだよりや園だよりの作成、イベントの企画運営、定期的な保護者面接、後輩指導などです。…
上記のようにだらだらと長文を並べるのは、読みにくくあまり印象のよいものではありません。次のように、見出しや箇条書きでまとめた見やすいレイアウトを心がけましょう。
【見やすさにこだわった書き方】
社会福祉法人○○ ◇◇◇保育園 |
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【事業内容】認可保育園の運営 【施設規模】東京都○○区認定保育所 園児定員90名/職員数30名 【雇用形態】正社員 |
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20XX年○月 ~現在 |
【所属歴】
【業務内容】 |
前述の通り、職務履歴書は見やすさを重視してパソコンで作成するのが一般的です。決まったフォーマットはないため、ウェブサイト上から好みのテンプレートをダウンロードして活用するとスムーズに作成できるでしょう。また、職務経歴書はA4サイズ用紙で1~2枚程度にまとめるのが理想的です。
職務経歴書の誤字・脱字には、細心の注意を払いましょう。誤字・脱字があると、読みにくいうえ「注意力がない」と判断されてしまう場合も。とくに、連絡帳の記入や、週案・月案・園だよりの作成など事務作業が多い保育士にとって、誤字・脱字は評価を下げてしまう恐れがあります。
職務経歴書を書く際には、1文を短く、簡潔にまとめることを心がけましょう。1文にあれもこれもと情報を盛り込んでしまうと、結果的に何が言いたいのかが伝わりにくく、印象にも残りにくくなってしまいます。
職務経歴書の職務内容欄には、経験した業務をすべて記入することをおすすめします。ささいな業務や、わずかな期間しか担当していないような業務なども、ぜひ記入しておきましょう。前職での経験があると即戦力として優遇される場合もあります。
職務経歴書の基礎知識を深めたところで、ここからは実践編です。保育士における職務経歴書の書き方について、下記のサンプルを見ながら項目ごとに詳しく確認していきましょう。
日付は職務経歴書を提出する日を記入します。また書類の中で和暦と西暦が混在しないように注意してください。西暦ならすべて西暦と、表記をすべて統一させましょう。
職務概要は簡単に言うとあらすじのことです。これまでの職歴を分かりやすく100字前後で簡単にまとめましょう。
(記入例)
社会福祉法人○○保育園に新卒で入職後、約5年間で0~1歳児クラス の担任(2年間)および3~5歳児クラスの担任(各1年間)を担当しました。
普段は、保育計画の作成や連絡帳記入などの事務作業、保護者対応および各種イベントの企画運営に携わっています。
また、PCスキルを活かして業務の効率化にも努めています。
職務経歴は職務概要で記入した職歴を詳細に説明する欄です。下記のような項目を簡潔かつ具体的に記入しましょう。
(記入例)
社会福祉法人○○ ◇◇◇保育園 |
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【事業内容】認可保育園の運営 【施設規模】東京都○○区認定保育所 園児定員90名/職員数30名 【雇用形態】正社員 |
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20XX年4月 ~現在 |
【所属担当歴】
【業務内容】 ・クラスだより・園だより・壁紙作成 ・連絡帳の記入業務 ・イベントの企画運営 |
業務に関連する資格や免許、スキルを記入する欄です。保育士の業務に必須とされる資格は一番上に記入しましょう。その他の資格などは、取得日順ではなく、アピールしたい順に記入するのがおすすめです。
(記入例)
20XX年3月 保育士免許
20XX年4月 幼稚園経論第二種免許
20XX年9月 マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)
20XX年6月 普通自動車免許
・パソコン作業(Word・Excelでの各種書類作成)
・ピアノ演奏(経験20年)
・フルート演奏(経験10年)
・絵本の読み聞かせ
自分のアピールポイントを文章で記載する欄です。300~400字前後のボリュームにまとめるが目安。アピールポイントが複数ある場合には、見出しを設けてまとめると読みやすく仕上がります。
なお、自己PR欄を書く際のポイントについては、次項でより詳しく解説しますので、どのように書けばいいのか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
職務経歴書を作成する際、自己PRに何を書けばよいのか悩んでしまう方も多いことでしょう。そこで最後に魅力が伝わる自己PRを書くコツをご紹介いたします。
自己PRはその名の通り自分をアピールする欄なので、強みは必ず記載しましょう。ただし、たくさんアピールしたいからと多くの強みを挙げるのはおすすめできません。伝える要素が多いとかえってわかりにくくなり、さらに1つずつの印象が弱まってしまいます。
絶対に伝えたいアピールポイントを1~2点に絞り込み、熱意を込めてまとめるとよいでしょう。
アピールポイントに対して、具体的なエピソードを加えると説得力が増します。エピソードには成功したことや実績などプラスの要素はもちろん、失敗や挫折したことなどマイナスの要素を用いるのもおすすめ。失敗をカバーする対策や挫折を乗り越えた経験をもとに、自分の成長を伝えることができます。
自己PR欄を作成する際にも、見やすいレイアウトを意識しましょう。とくにアピールポイントが複数ある場合には、見出しを活用して別々にまとめるのがおすすめです。また、とくに伝えたい言葉はカッコ「 」で囲んだり下線を引いたりして強調するのもよいでしょう
経験が浅い保育士の場合には、これから育つ人材として人柄も考慮される場合が多いといわれています。これまでの経験に加えて、やる気や積極性など人柄が伝わる内容を盛り込み自分の魅力を存分にアピールするのもおすすめです。
ベテラン保育士の場合には即戦力のほか、若手保育士の育成・教育など、マネジメント経験が評価される傾向にあります。どのような点に心がけて指導やサポートをしてきたか、周りの保育士とどのようにコミュニケーションをとってきたかなどを積極的にアピールするとよいでしょう。
(記入例)
〈相手を尊重し、気持ちに寄り添う力〉
私は、「子どもの気持ちに寄り添うこと」を大切にしています。
たとえば、イベントやプール、外遊びなどに参加したがらない子供に対しては、気持ちを聞いて共感することに努め、その子のできる範囲で楽しく参加できる方法を一緒に見つける工夫をしてきました。
また、気持ちに寄り添うことは一緒に働いていく保育士に対しても同様に大切であると考えています。0~1歳児クラスの複数担任制で、ペアを組む保育士との考え方の違いにより連携が取れていない期間がありました。しかし、まずは相手の考えをじっくりと聞き、少しずつ意見をすり合わせることで、信頼関係を構築できました。その結果、保育の質と安全性の向上につながったと思っております。
〈PCスキルを活かした業務の効率化〉
MOS資格を活かして、クラスだよりや園だより、事務関連書類全般の作成を担当しておりました。また各書類のフォーマット化に取り組み、事務作業の効率化にも貢献しております。
職務履歴書は、これまでの経験や実績をふまえ、これからの仕事でどう役立つかをアピールする自分自身のプレゼン資料です。相手にわかりやすく伝えることが重要なので、手書きよりもパソコンで作成するのがおすすめ。また見出しやカッコなどをうまく用いて、パッと見ただけでも要素が伝わるようなレイアウトを心がけましょう。
ぜひ本記事を参考に、熱意のこもった職務履歴書を作成してみてください。
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