就職先や転職先を選ぶ際、重視する条件のひとつに「通勤時間」を挙げる方が少なくありません。早番で朝早くに家を出たり、遅番や残業で帰りが遅くなることがある保育士の仕事なので、体力的にも時間的にも負担にならない、通勤に便利な保育園で働きたいと思うのは当然です。
そこで今回は、保育士の「通勤時間」事情を徹底解説いたします。保育士の平均的な通勤時間、通勤時間の短い職場で働くメリット・デメリットなどを詳しくみていきましょう。あわせて、通勤しやすい求人を見つけるコツ、履歴書の「通勤時間」の書き方などもご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
保育士の通勤時間を詳しくみる前に、まずはどのような手段で職場に通勤しているのかを把握しておきましょう。一般的に、保育士が利用している通勤手段は次の通りです。
公共交通機関が発達している都市部では電車やバスなどが主流、一方、地方では自家用車やバイクの利用が多いなど、保育士のおもな通勤手段は地域によって異なります。
また同じ通勤時間でも、たとえば最寄り駅まで電車1本で行ける場合、電車を数本乗り換えなければならない場合、最寄り駅を出てからの徒歩の時間が長い場合とでは、負担が変わってきます。
通勤時間を考える際には、家から職場までかかる時間だけでなく、利用する通勤手段についても考慮しておくとよいでしょう。
ここからは早速、保育士の通勤時間の実態についてみていきましょう。現職保育士の平均的な通勤時間、また、どれほどの保育士が通勤時間を重要視しているのかなどを詳しくご紹介いたします。
東京都が発表する「平成30年度東京都保育士実態調査結果」によると、保育士の平均通勤時間は片道28.6 分とされています。雇用形態別の平均通勤時間(片道)は次の通りです。
これらの結果から、現職の保育士は30分前後で通勤していることがわかります。また、正規職員(32.1分)に対して、パート保育士の平均通勤時間(21.6分)が10分以上短い点にも注目です。
これには、仕事と家庭の両立など、ワークライフバランスを重視してパートタイムという働き方を選択している方が多い点を理由のひとつに挙げられるでしょう。とくに、子育て中の方などは、短時間で働けるパートの利点を最大限活かせるよう、より自宅に近い職場での勤務を希望する傾向にあるようです。
【参考】東京都福祉保健局「平成30年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」
保育士としての就業経験がない方および過去に保育士として就業経験がある方に対して「今後保育士として就業(再就業)する際の希望条件」を質問したところ、全体の7割を超える方が「通勤時間」と回答した、という調査結果が東京都より発表されています。
調査結果の詳細は次の通りです。
【保育士として就業経験がない方が就業する際の希望条件トップ5】
⇒希望する通勤時間(片道平均):33.3分
【過去に保育士として就業経験がある方が再就業する際の希望条件トップ5】
⇒希望する通勤時間(片道平均):30.6分
就業、再就業ともに「通勤時間」が上位を占めていることから、保育業界全体的に職場までの通勤時間はかなり重要度の高い項目であることが推測できます。また同調査では、希望する通勤時間の片道平均は就業の場合で33.3分、再就業の場合で30.6分という結果も出ています。これらのことから、保育士にとって負担のない通勤時間はやはり30分前後が目安といえるでしょう。
【参考】東京都福祉保健局「平成30年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」
ここからは、通勤時間の短い保育園で働くメリットについてご紹介いたします。
通勤時間が短いことは、そのまま時間や体力の節約につながります。保育士の仕事は、早番で朝早くに家を出たり、遅番や残業で帰りが遅くなったりと不規則な勤務体制になりがちです。また、日中は子どもと遊んだり走り回ったり、すき間時間には事務作業を済ませたりと体力勝負の仕事でもあります。
職場が自宅に近く、通勤の負担を軽減できれば、その分体力の温存ができるでしょう。
通勤時間が短いと、その分家庭に費やせる時間を長く確保できるため、仕事と家庭を両立しやすくなるのもメリットのひとつです。
保育士として働きながら、家庭を大切にしていきたい方も多いことでしょう。とくに、子育て中の方なら、子供を送り出してから出勤できますし、保育園や学校から呼び出しがあった際にもすぐに駆け付けることができます。
仕事と家庭が両立できれば、保育士として長く働いていくことも可能になるでしょう。
通勤時間が短い分、公共交通機関の影響を受けにくいのもメリットといえます。徒歩や自転車で通勤できる範囲に職場があれば、天候不良や交通機関のトラブルに巻き込まれずに通勤できます。
また、電車やバスで通勤している場合も、職場が近ければ、別の路線を利用したり他の交通機関を使ったりなど代替ルートで通勤できるでしょう。
通勤時間が短い保育園で働くことには多くのメリットがある一方、職場と自宅の距離が近いからこそ生じてしまうデメリットもあります。働き始めてから後悔することのないよう、デメリットについてもここでしっかりと把握しておきましょう。
保育園を利用している方の多くは、園の近辺に住んでいます。そのため、通勤時間が短いと保護者の方や子ども、同僚などと生活圏がかぶってしまいがちです。近所での買い物やデートなどで保護者とばったり遭遇して、気まずい思いをしてしまうケースも起こり得るでしょう。
「保育園関係者と鉢合わせてしまうかもしれない…」と、外へ出るたび気になって心が休まらない方もいるかもしれません。仕事とプライベートのオンオフをしっかりと切り替えたい場合には、ある程度保育園と距離がある場所に住んだ方がよいかもしれません。
通勤時間が短いと、緊急時に駆り出されるリスクが高まります。何らかのトラブルで公共交通機関が動かなくなってしまった場合、長距離勤務の保育士に代わって呼び出されることがあるかもしれません。
また、保育士の急なお休みで人手が足りなくなった場合などにも、すぐに通えることを理由に出勤をお願いされてしまうケースが考えられます。
保育士の平均通勤時間や、通勤時間が短いことによるメリット・デメリットを把握したところで、ここからは実際に通勤に便利な求人を探す際のポイントをご紹介いたします。ぜひ、就職先を探す際の参考にしてください。
できるだけ近くの保育園で働きたいと考えている場合には、住んでいる地域の求人情報をチェックしてみましょう。求人情報は次のような方法で探すことができます。
また、HPがない保育園では、掲示板などに求人の張り紙が出されている場合もあります。気になる園がある場合には、直接足を運んでみるのもおすすめです。
小規模保育園や企業主導型保育園などに絞って就職先、転職先を探すのもおすすめです。基本的に小規模保育園や企業主導型保育園は、駅の近くなど利便性のよい場所に設置されているケースが多いため、通勤時間を最小限に抑えられます。
また、保育園の近くに商業施設がある場合も多いので、仕事帰りに必要な買い物を済ませられるメリットもありますよ。
保育士専用の求人・転職サイトを利用するのもおすすめです。通勤時間をはじめ、さまざまな希望条件で検索すれば、自分に合いそうな保育園をいくつか絞り込むことができます。
アドバイザーから園の内部事情を提示してもらえたり、履歴書の書き方や面接のアドバイスをしてもらえたりと、入社までのサポートを受けられるのもメリットです。転職の場合には、給与などの条件交渉を代行してもらえる場合もあります。
通勤時間を重視して勤務先を探す場合には、自宅から職場までの距離だけでなく、必ず通勤ルートも細かく確認しておきましょう。
前述の通り、同じ通勤時間であっても、電車1本で行けるのと電車を数回乗り換えるのとでは負担が異なります。また、最寄り駅からかなり離れているような場所も利便性がよいとはいえません。
どんな通勤手段を利用するのか、乗り換え回数、駅徒歩〇分など、自宅を出てから職場に到着するまでのルートと所要時間のチェックが重要です。
最後に、希望する保育園に提出する履歴書の「通勤時間」の書き方をご紹介いたします。そもそも、履歴書に通勤時間を書くのは、採用担当者が以下の項目を確認するためです。
採用担当者に正確な情報を伝えられるよう、通勤時間の書き方のポイントをしっかりと押さえていきましょう。
履歴書の通勤時間には、自宅から保育園までドアtoドアでかかる片道分の所要時間を記載します。バスや電車などの公共交通機関だけでなく、徒歩や自転車などすべての移動手段が対象です。もちろん、複数の交通手段を利用する場合にも、すべて記載する必要がありますので留意しておきましょう。
採用担当者が正確な通勤時間を把握できるよう、履歴書には自宅から保育園までの最短時間・最短ルートを記載しましょう。ルートが複数ある場合には、最も早く到着するルートを選んで記入するのが基本です。
履歴書の通勤時間は、5分単位で記入するのが一般的です。端数は切り上げたり切り下げたりして対応しましょう。また、所要時間が1時間未満の場合には、誤解を避けるため「約0時間30分」と記載します。
採用担当者が正確なルートを把握できるよう、所要時間に加えて「移動手段」も明記しておきます。その際には、電車・バス・自転車・自家用車・徒歩など、利用するすべての移動手段を記入します。
働きやすい環境を実現するため、多くの保育士が職場選びの条件として「通勤時間」を重要視しています。通勤時間が短ければ、体力温存や時間の節約、仕事と家庭の両立など多くのメリットがある一方で、仕事とプライベートの切り替えが難しいなどのデメリットも持ち合わせています。
メリットとデメリットをよく考えて、通勤しやすい職場選びの参考にしてください。
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