家庭と仕事を両立させるため、残業を減らすため、などさまざまな理由から、近年、派遣保育士という柔軟な働き方を選ぶ保育士が増えています。
しかし、派遣保育士では思い描く保育ができなかったり、次々と変わる職場環境に馴染めなかったりとなかなかうまくいかないこともあるようです。
働き始めてから、「やっぱり派遣保育士を辞めたい」と後悔してしまう方もいるのが現実です。
そこで今回は、派遣保育士を辞めたいときの対処法と実際に辞める際の注意点を詳しく解説いたします。
派遣保育士を辞めたくなる理由を改めて振り返りながら、今後の自分にはどのような働き方が合っているのかじっくりと探っていきましょう。
派遣保育士とは、登録した派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の保育園で勤務する保育士のことです。
非常勤に分類される雇用形態であり、保育園から直接雇用されている職員とも異なるため、直接雇用の正社員・パート・アルバイトの保育士では感じないような問題にぶつかってしまう方もいるようです。
そこでまずは、派遣保育士を辞めたいと感じてしまう主な理由を確認していきましょう。
派遣保育士の仕事は、「保育補助」や担任をもたない「フリー」の業務が中心で、クラス担任など責任のあるポジションを任されるはほとんどありません。
雑務やサポートが主な仕事なので、自分の理想とする保育ができなかったり、子どもたちと接する機会が少なかったり、さらには職員会議に参加できないケースも少なくありません。
そのため、保育士として子どもの成長にじっくりと関わっていきたい、保育士の仕事を全力で務めたいというような思いを持っている方にとっては物足りなさが募り、辞めたい気持ちが高まってしまうようです。
派遣保育士は、正社員やパート、アルバイトなどの雇用形態と異なり、3ヶ月・6ヶ月・1年間など、契約期間があらかじめ定められた「有期雇用」である点に大きな特徴があります。
「労働者派遣法」の改正により、最長でも3年間を超えて同じ施設で働くことはできません。
【参考】厚生労働省「派遣で働く皆様へ」
そのため、責任のある仕事が任されない、キャリアを積み上げていくことが難しいなどの問題にぶつかってしまう場合があります。
また、契約期間満了後には別の保育園で働かなくてはならないので、派遣先の保育士や子どもたち、保護者の方などと良好な関係を築いていた方にとっては大きな負担になるでしょう。
契約期間に縛られてしまうことがストレスとなり、辞めたいと考える方もいるようです。
派遣保育士は非常勤という雇用形態であり、給与は時給制、基本的にボーナスは支給されません。
正規の保育士がボーナスの話をしているなか、自分だけ受け取れないとなると仕事へのモチベーションが下がってしまうのも無理はありませんよね。
収入面に不満を感じて辞めたくなる方も少なくないようです。
先に触れた通り、派遣保育士は最短で3ヶ月、最長でも3年間で別の施設へ移動しなければならないうえ、任される仕事内容も補助的な業務が多いため、ほかの保育士と対等な関係を築きにくい傾向があります。
また、保育園から直接雇用されている正社員・パート・アルバイトの保育士と、派遣会社と雇用契約を結ぶ派遣保育士の間には人間関係にも壁を感じてしまう場合もあります。
保育士同士の交流の場に呼ばれない、どこかお客様扱いされるなどの疎外感を感じて辞めたくなってしまう方もいるようです。
派遣保育士を辞めたくなる主な理由を押さえたところで、ここからは、派遣保育士を辞めたくなった際の対処法をみていきましょう。
今まさに「辞めたい」と考えている方は、ぜひ今後の参考にしてみてくださいね。
任される業務内容や職場の人間関係などに不満、ストレスを感じている場合には、派遣会社のスタッフに相談して別の派遣先を紹介してもらうことを検討してみましょう。
保育園のなかには、正規保育士と派遣保育士を区別して業務を割り振るような施設がある一方、派遣保育士にもある程度責任のある仕事を任せてくれる施設も存在します。
また同様に、保育園によって職場の雰囲気もさまざまです。
そのため、別の派遣先へ移動することで、よりやいがいのある業務に就けたり、より良好な関係性のなかで心地よく働けたりと、状況が改善する場合もあります。
現在の派遣先が気に入っており長く働くことを希望している場合、また、職場環境には満足しているものの派遣保育士であるために疎外感を感じているような場合には、パート・アルバイトとして働くことを検討してみましょう。
パートやアルバイトなら派遣保育士のような雇用期間が定められていないため、同じ施設でより長く働くことができるのがメリットです。
また、保育園と直接雇用契約を結ぶようになるため、ほかの職員からの対応も変わる可能性がありますよ。
ただし、パートやアルバイトになると派遣保育士のときより時給が低くなる場合があります。派遣保育士とパート・アルバイトでは、給与面に差が生じる点を留意しておきましょう。
仕事内容や収入面に不満がある場合には、正規の保育士として転職することを検討してみましょう。
正規保育士なら、クラス担任など派遣保育士では任されないような責任のあるポジションを任されることもあるでしょう。長く勤務していくうちに、スキルアップやキャリアアップも目指せます。
また、福利厚生を受けられたりボーナスが支給されたりと、労働環境や収入面も充実します。
ただし、正規保育士になると仕事量が増えるので、残業や場合によっては休日出勤があるなどのデメリットも伴います。
メリットとデメリットの両方をしっかりと把握したうえで、自分のライフスタイルに合う働き方を選んでみてください。
では、「派遣保育士を辞めよう」と決断した場合、一体どのように辞めていくのがよいのでしょうか。
最後に派遣保育士を辞めるときの注意点を確認おきましょう。
派遣保育士をどんなに辞めたいと思っていても、契約期間中に退職することは避けましょう。
派遣保育士には契約期間が定められており、契約期間中は業務を全うすることが求められます。
契約途中で辞めてしまうと、派遣先の保育園に迷惑がかかってしまうのはもちろん、雇用先である派遣会社の信用も損ねてしまいます。
ゆくゆくは不信感を抱かれることになり、自分自身の評価が下がってしまうでしょう。
派遣保育士を辞める日は、必ず契約期間が満了を迎えるタイミングに合わせましょう。
退職希望日の1~2ヶ月前には、派遣会社と派遣先保育園の両方に辞める意思を伝えておくようにしましょう。
とくに、派遣先の保育園では、保育士が1人抜けることによって、代わりの保育士を探したりシフトを変更したりと引き継ぎのためのさまざまな対応に追われます。
そのため、「今週で辞めます」などと突然退職を告げてしまうと、現場は混乱し、迷惑がかかることに。辞めることを決断したら、必ず余裕をもって伝えるようにしてください。
派遣保育士を辞める前には、今後の働き方を考えておくようにしましょう。
辞める前に転職先まで決めておくと安心です。
現在の派遣先に不満はあるものの、派遣保育士としての働き方に満足している場合には、早めに派遣会社のスタッフに相談して、次の派遣先を探してもらいましょう。
その際には希望条件を明確に伝えておくと、自分にマッチした職場で働ける可能性が高まります。
前述の通り、保育士としてより好条件の環境で働いていきたい場合には、保育園と直接の雇用関係にある正規保育士・パート・アルバイトで働くのも良策です。
正規保育士なら、責任のある仕事ができるうえ、福利厚生やボーナス支給などの恩恵を受けられるのが最大の魅力。
パートやアルバイトであれば、同じ職場で期間を気にせず働き続けることができます。
なお、派遣保育士自体を辞める場合には、派遣会社の登録を忘れずに解除しておきましょう。
保育士資格が活かせる職場は、保育園だけではありません。
共働き世帯が増加している昨今では、さまざまな場所で保育士のスキルを活かして働くことができます。
派遣保育士を辞めた後には、保育園以外への施設にも目を向けて、さまざまな働き方を検討してみるのもよいでしょう。
【保育士資格が活かせるおもな仕事】
※下記条件のすべてをクリアすると幼稚園教諭免許状の取得が可能
保育士資格を活かせる仕事を把握すれば、働き方の選択肢が大きく広がります。
自分のやりたいことができる仕事、自分のライフスタイルにぴったりとマッチする仕事をぜひじっくりと見つけてみてください。
派遣保育士は、正規の保育士やパート・アルバイトと異なり雇用主が派遣会社であり、雇用期間があらかじめ定められています。
そのため、正規雇用とは違った悩みやストレスにより、「辞めたい」と考える方も少なくありません。
「派遣保育士を辞めたい」ときには、辞めるタイミングに注意して、今後の働き先、働き方をしっかり検討しておくとよいでしょう。
辞める時期は契約満了時がベスト。退職の意思は、必ず数ヶ月前に余裕をもって伝えておくのがマナーです。
また、保育士資格を活かせる仕事は、保育園のほかにもたくさんあります。
ぜひこれを機に視野を大きく広げて、自分に合った働き方のできる仕事が探してみてはいかがでしょうか。
(c) 2025 LIKE Staffing, Inc.