これから始まる園生活、少しでも子どもに負担なく過ごして欲しいですよね。
ここでは子どもが保育園の集団生活に、スムーズに慣れていくために大切なことを解説していきます。
慣らし保育とは初めて保育園に通う子どもと保護者の方が、安心して園生活を過ごすための準備期間を指します。
この準備期間に子どもたちはお母さんから離れ、場所や保育士に慣れたり、園での生活を体験しながら少しずつ変化を受けいれていきます。
また保護者の方も子どもの様子を介しながら、園生活のリズムを知り、保育園と信頼関係を築く第一歩となります。
慣らし保育のねらいは第一に、子どもと保護者の園生活への不安を減らし、安心できる場所であると感じてもらうことにあります。
保育士もこの慣らし保育の間に子どもひとりひとりの個性をつかみ、その子に合った保育や環境を提供するヒントを得ることを目的とします。
慣らし保育中の目的は、大きく分けて3つあります。
まず、子どもに保育園が安心して過ごせる場所だと伝えること。
言葉がまだ話せない年齢の子どもたちにも理解してもらうために、無理強いはせず、その子に合わせたペースで短時間の生活を共有するところから始まります。
次に大事なのが保護者との共通理解を深めることです。
子どもの成長を守るために家庭との連携は欠かせません。
保護者の方と離れて不安な子どもの気持ちを受け止め、保護者とその日の様子を伝え、気になることがあれば解決法を相談することで、歩調を合わせることができます。
そして最終的な目標は、保育園で過ごす集団生活を、子どもに負担なく、健やかに成長できる場所として受け入れてもらうことです。
慣らし保育では、子どもと保護者の方に保育園が「安全で安心して過ごせる、預けられる場所である」と理解してもらうことが大切です。
そのため降園時の対応や、連絡帳を通して子どもの姿などをわかりやすく記録し、次の保育に活用していくことが必要です。
子どものその日の様子に配慮しながら、無理なく園生活に馴染めるように、援助していくことが保育士にとって一番の目標です。
保育園側もスケジュール管理や、保護者の方の相談に応じるなど、柔軟に対応してかなくてはなりません。
慣れない環境で子どもたちは様々な不安を抱えています。
子どもとの関わりの中でよくある事例をあげながら、対応や解決策を考えていきましょう。
保護者の方がいない、初めての環境に置かれることは、子どもにとって未知の経験です。
泣いて不安を訴えている子どもには、安心できる言葉かけをしたり、抱っこをするなどして、落ち着くまでそばで待ちましょう。
慣れるまではあらかじめ家庭から預かった普段使っているものや好きなおもちゃを使って安心させてあげるのも一つの方法です。
無理に集団に誘うよりも、そっとそばに寄り添いながら、その子のペースに合わせてすすめていくことが大切です。
保育園生活で食事の時間は重要な意味があります。
どんなに泣いていたとしても、食べ物を口にすることができれば、その後半日のための体力、気力の回復が望めるからです。
しかし家庭ではない場所、初めての人と囲む食事に、まったく手をつけたがらない子どももいます。
ここで急いてしまうと、給食をきらいになってしまったり、園で過ごす時間を延ばすことが困難になったりする場合があります。
そのため家庭とも連携を取りながら、少しずつ進めていくことが大切です。
必要であれば介助をしたり、無理に食べさせることはせず、自分から進んで食べられるような声かけや楽しく食べられる雰囲気作りをしていきましょう。
食事ができるようになると、次のステップは「午睡」になります。
お昼寝はまだ夕方まで体力がもたない子どもたちには、体を休める大切な時間ですが、これを嫌がる子どもは多くいます。
特に慣らし保育中だと、ふだん家庭でしているお昼寝とはだいぶ状況が違うため、すんなり入眠するのは難しいこともあります。
そんなときは無理に寝かしつける必要はありません。
布団に座り、静かにしているだけでも体力を回復することはできます。
部屋を薄暗くし、落ち着いた音楽をかけるなどして眠くなりやすい雰囲気を作るのも大切です。
また、保護者の方から「寝るときの儀式」を聞いておくのもよいです。
普段の入眠時にしていること、そばにあるものなど、園でも役立つものがあれば、お預かりしておくのもよいアイディアです。
ここでは、慣らし保育において保育士が留意すべき点についてまとめました。
子どもだけでなく、保護者の方への対応なども詳しく紹介していきます。
不安を抱えている子どもの負担を軽減するには、保育園が安心できる場所であり、保育士は信頼できる存在であることを知ってもらう必要があります。
たとえば、不安が大きい子どもには、まず午睡前に降園、時間をかけて午睡、降園時間を伸ばしていくなどの配慮をしながら、段々と信頼関係を築いていくことが重要です。
また、その子の好きなものや、安心できる場所、落ち着ける保育士などを確保してあげることも、子どもの安心感につながります。
まず朝の登園時の視診と体調確認、前日の様子などを保護者の方から聞いて、その日の子どもの過ごし方を考えましょう。
睡眠時間や朝食の有無、排泄など、変わった様子はないか必ずチェックしておきましょう。
また、降園時には連絡帳での報告だけでなく、できる限り対面でその日一日の様子を伝えられるとベストです。
慣れてくれば連絡帳だけで伝えられますが、最初のうちは保護者の方も子ども同様不安に感じている場合が多いです。
直接声をかけて保護者の方に安心してもらいましょう。
焦らず、親子、保育士ともに一歩一歩不安を取り除いていくことが、園生活を軌道に乗せる近道になります。
子どもの不安に寄り添うことで、その子がいま必要としている環境が見えてきます。
たとえば、広すぎる保育室での午睡が苦手な子どもには、部屋の角に段ボールや机などで個別のスペースを作ってあげると落ち着くことがあります。
また、特定のものに触れていると安心する子どももいます。自分の タオル、カバン、ぬいぐるみやおもちゃなど、その子によってさまざまです。
その場合は、慣らし保育の間だけ個人の持ち物を許可したり、取り合いにならないように同じおもちゃをいくつか準備しておくといった環境設定が有用です。
また子どもの様子をよく観察していると、現時点でのその子の順応性が見えてくるので、一人一人に合ったペースで保育をすすめていけるよう、無理のない範囲での保育計画を立てることも必須になります。
子どもとの関わり方と同じくらい大切になるのが、保護者の方との連携です。
慣れない保護者の方を上手にフォローする方法を紹介します。
慣らし保育の降園時には、必ず保護者の方と顔を合わせて、一日の様子を報告する時間を持ちましょう。
保護者の方とのコミュニケーションは次の保育にも密接に関係してきます。
一斉保育、自由保育、排泄、昼食、午睡、午後の活動など、お知らせする内容をピックアップして分かりやすく伝えます。
また、保護者の方からの質問にも丁寧に答えましょう。
保護者の方との信頼関係は慣らし保育から築き上げていくものです。
保護者の方に信頼して任せてもらえれば、子どもも安心感を感じます。
しっかりフォローしていきましょう。
そのためには、子どもの長所や良い面、成長したところなどをたくさん見つけて伝えてあげることが何よりも大切です。
保護者の方は子どもと初めて長時間離れるので不安でいっぱいです。
保護者の方の不安を取り除くことは保育士の大切な仕事のひとつです。
保育士の言葉かけは保護者の方にとっての拠り所になります。
たとえば、その日一日の子どもの様子を具体的に伝えることで、離れていた時間に安心感を与えることができます。
子どものちょっとした行動、発した言葉を心にとどめたり、メモを取っておくようにしましょう。
それらを保護者の方に直接お知らせすることで、また明日からも安心して園に通うことができます。
慣らし保育を進めていく上で、スケジュール管理はとても重要です。
先を急いで進めてしまっては、後々子どもに負担がかかってしまったり、後戻りしなくてはならなくなり、逆に時間がかかってしまいます。
そのような事態を避けるためにも、子ども一人ひとりの様子を細かに観察し、その子に合ったスケジュールを提案しなくてはなりません。
最初は午前中だけ、そのあとからは昼食、午睡、降園まで、と少しずつステップアップすることをおすすめします。
保護者の方と、保育士、ときには園長と現在の子どもの姿についてじっくり話し合い、ていねいに無理のない予定を組んでいきましょう。
慣らし保育はじっくり取り組むことで、よりよい園生活がスタートできます。
子どものペースによりそいながら、あせらず進めていくことが一番大切です。
保育園での生活が、子どもや保護者の方にとって充実した時間になるように、一人ひとりに合ったサポートを考えていきましょう。
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