最近では多くの家庭が共働きをしており、保育現場へのニーズが多様化しています。
そして仕事のため通常の保育時間外も子どもを預かってほしいという保護者の方ために、多くの保育施設で「延長保育」が実施されています。
今回は延長保育の概要から利用するメリット、延長保育を担当する保育士の心構えまで、延長保育の気になるポイントを徹底解説いたします。
理解を深めて、ぜひ今後の保育へ活かしてくださいね。
まずは延長保育の概要について詳しく解説します。
一体どのようなサービスなのか、基礎知識をしっかりと深めていきましょう。
延長保育とは、おもに保育認定を受けた0~5歳児までの子どもを、保護者の方の希望により定時の預かり時間よりも延長して保育を行うことです。
通常の保育時間が終了した夕方~夜間までが延長保育の時間帯だと思われがちですが、保育開始前の早朝や通常の利用日以外に保育を実施する際も延長保育として分類されます。
冒頭でもお伝えした通り、共働きや核家族の増加に伴い、保育園が従来提供していた既定の保育時間では足りない世帯が増加しました。
夕方~夜間にかけて子どもを預かる保育施設もありますが、保護者の方が働いている場合、仕事を抜け出して昼間預けている保育園に一度迎えに行き、その後別の預け先となる夜間専門の保育園へと送っていくのは容易なことではありません。
そこで、保育施設での延長保育のしくみが注目されるようになりました。
保護者の方が自分の希望に合った時間帯で延長保育を利用すれば、働く時間に合わせてひとつの施設に子どもを預けることができます。
このように、子育てと仕事を両立しやすくするための支援策として生まれたのが延長保育なのです。
延長保育の時間は、保育施設の開園時間や保護者の方の就労時間などによって変わり、早朝・夕方・夜間・深夜まであります。
基本的には、「子ども子育て支援新制度」で定められた区分があり、定時の保育時間を超えて預ける場合には延長保育になると押さえておきましょう。
なお、「2号認定」および「3号認定」に認定されている子どもは、保護者の方の就労形態や保育を必要とする時間によって、さらに「保育標準時間認定(11時間保育)」と「保育短時間認定(8時間保育)」に区分されます。
そのため、たとえば開園時間が7:00~20:00、保育標準時間が7:00~18:00、保育短時間が9:00~17:00の保育施設を利用した場合には、それぞれ下記の時間帯が延長保育となります。
【参考】
内閣府「すくすくジャパン!子ども・子育て支援新制度について」44ページ
笠間市「おしえて 子ども・子育て支援新制度/保育所・認定こども園の延長保育が変わります!」
延長保育は、通常の保育料とは別に利用料金が発生します。
ただし、明確な規定は設けられていないため、細かな料金設定は保育施設や地域などによって異なります。
30分○円、1日〇円などのように時間単位や日単位で料金を設定している施設もあれば、月額〇円と定額を設けている施設もあります。
また、延長保育を常に利用している保護者の方には月額、短時間利用のみの保護者の方には日割りと、保護者の要望に柔軟に対応できる体制を取っている施設もあるようです。
さらに、補食や夕食を利用する場合には、別途料金が発生する場合もあるので留意しておきましょう。
延長保育の基礎知識を得たところで、ここからは、実際に延長保育を利用するメリットについてみていきましょう。
保護者の方と子ども、それぞれの立場から解説いたします。
まずは、延長保育を利用する保護者の方のメリットからみていきましょう。
すでにご説明した通り、延長保育は保護者の方の働く時間に合わせてひとつの施設に子どもを預けられるのが特徴です。
そのため、朝子どもを送り出した後は、延長保育の終了時間まで迎えに行く必要がなく、余計な送迎を省くことができます。
もし延長保育を利用できなければ、昼間預けている保育施設へ一度子どもを迎えに行き、さらに別の預け先となる夜間専門の保育園などへ送っていかなければなりません。
とくにフルタイムで働く保護者の方は、勤務時間中の送迎は難しいこともあるでしょう。
延長保育によって子どもの送迎の負担を減らせるのは大きなメリットといえます。
延長保育は、通常保育の延長なので同じ環境で保育を受けられるため、保護者の方が安心して子どもを預けられるのもメリットのひとつです。
延長したい時間だけ新しい施設に預けるとなると、「子どもが場所見知り、人見知りをしてなかなか慣れない」、「慣れない環境で寂しくないか」など不安が生じてしまうこともあるでしょう。
子どもが慣れ親しんでいる日中の保育施設にそのまま預けられる延長保育であれば、保護者の方も安心ですよね。
延長保育を利用する子どもにとっては、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。
延長保育の時間は、通常の保育時間と比べて子どもの人数が減るため、ひとつの部屋で年齢の異なる子ども同士が一緒に過ごすケースが多いようです。
そのため、年齢の大きい子が小さな子の面倒をみたり、新しい友だちができたりと通常保育ではできない経験ができる場合も。異年齢児と関われるのは、延長保育ならではのメリットといえます。
延長保育の内容は保育施設によってさまざまですが、通常保育とは異なる経験や遊びを楽しめるのも子どもにとってのメリットといえます。
普段とは異なる延長保育専用の部屋、普段とは異なる友だちなど、延長保育の雰囲気にワクワクする子もいることでしょう。
多くの保育施設では、普段の教室にはないおもちゃを用意したりおやつタイムを設けたり、リズム遊びや制作など、子どもたちが延長保育時間を楽しく過ごせるような工夫が施されています。
なかには、「延長保育の方が楽しい」と感じる子どももいるようですよ。
これまでみてきた通り、延長保育は、通常の保育時間だけでは足りない保護者の方と子どもたちをサポートする大切なサービスです。
子どもを預かる点では通常保育と変わりませんが、延長保育の時間帯は早朝や夕方、夜間に及ぶ場合もあり、通常保育とは子どもたちの置かれている状況が異なります。
そのため、延長保育を担当する保育士には押さえておきたい心構えがあります。延長保育に慣れていない方、これからはじめて延長保育の担当になるという方は、ぜひ参考にしてみてください。
延長保育を利用する子どもたちは、いつまでも家に帰れないことへの不満や寂しさなどを抱えていたり、日中の保育で疲れが溜まっていたりする場合があります。
そのため、延長保育では子どもたちが穏やかに、静かに過ごせる環境づくりが大切です。
下記のような、できるだけ室内で簡単にできる遊びを取り入れましょう。
なお、延長保育時間は少人数の保育士で子どもたちを見守るため、園庭で鬼ごっこやボール遊びするなど活動的なものを取り入れると対処しきれなくなる可能性も。
全体に目が届かなくなり、怪我などが発生してしまう恐れもあります。
子どもたちの疲れも考慮して、活発な遊びはなるべく控えたほうがよいでしょう。
また、延長保育時間は異年齢児が一緒に過ごすため、3~5歳児がみんなで楽しく参加できる遊びを取り入れたり、0~2歳児専用のスペースを設けたりなど、年齢に合わせた配慮も大切です。
これまでみてきた通り、延長保育には年齢の異なる友だちができる、通常保育ではできない経験ができるなどのメリットがありますが、子どもたちにとっては次のようなデメリットもあります。
そのため、自分の家にいるような安心とくつろぎを感じられるアットホームな雰囲気作りも大切です。
子どもが抱えている寂しさや不満を受け止め、ひとりひとりに寄り添った保育を心がけてみてください。
のんびりと過ごせるよう、畳の部屋を保育室として使うのもよいでしょう。
スキンシップをたっぷり図ることも大切です。
延長保育では、クラスや年齢の異なる子どもたちを一緒に保育し、補食や夕食の提供、保護者への引き渡しまでをすべて担当保育士が担います。
当然、通常保育で自分が担当していない子どもたちも含まれているため、保育士間での事前の情報共有は必須です。
延長保育の業務や保護者への引き渡しをスムーズに行うため、また、子どもたちを危険から守るためにも、日勤の保育士や別のクラス担任などと子どもたちについての情報をしっかり共有しておきましょう。
また最近ではICTシステムを導入し、園児の情報をシステムで一元管理している保育施設も増えています。
ICTシステムは、パソコンやタブレット、スマートフォンなどから即座に情報を確認できます。
保育士同士でコミュニケーションを密に図ることが前提ですが、便利なツールをうまく活用するのもおすすめですよ。
延長保育は、通常の保育時間を延長して子どもを預かる保育サービスです。
利用時間は、保育施設の開園時間によって早朝や夕方、夜間とさまざまで、料金設定も日割りや月額など施設ごとに定められています。
そして、年齢やクラスの異なる子どもたちを一緒に見守り、補食や夕食などを提供して保護者へ引き渡すまでがおもな保育内容です。
なお、延長保育の担当になる場合には、子どもたちの状況が通常の保育時間と異なる点をしっかり押さえてきましょう。
なかには、寂しさや不安を抱えていたり疲れが溜まっていたりする子もいます。そんな子どもたちが楽しく安全な時間を過ごせるよう、一人ひとりに寄り添った保育を心がけてください。
(c) 2025 LIKE Staffing, Inc.