保育園でのトイレトレーニングは2歳児クラスを中心に行われますが、0歳児からも1人で排泄が完了できるように少しずつ進めていきます。
今回は保育園でのトイレトレーニングの方法を、年齢別にまとめてみました。
初めて担任を持つ保育士も、年齢別でトイレトレーニングをどう進めるか意識しながら、保育に取り入れてみてくださいね。
トイレトレーニングは、子ども一人ひとりの発達状況や様子に合わせて進めていきます。
全員が4月から始めるというわけではなく、子どもの意欲を大切にしながら進めていきましょう。
保育園では友だちの様子を見て「自分もやってみたい」と興味を持つこともありますよ。
トイレトレーニングをスタートするタイミングは以下の3点です。
1歳を迎えた頃から歩行ができるようになり、少しずつ保育者の言っていることを理解するようになります。
「トイレに行こうね」「オムツを替えようね」という声掛けに、返事はできなくても応じることができるようになれば、おまるや幼児便座に座ったり、着脱を自分で行ったりすることから始めていきましょう。
保育園でのトイレトレーニングの流れは、おおまかにまとめると以下の通りです。
子どもの発達に合わせて少しずつ進め、自信を持てるようにしていきます。
年齢や保育園の方針によっても多少異なってくるので、気になるときは先輩保育士に確認を取りましょう。
年齢別にトイレトレーニングの進め方をまとめました。
今回は2歳児クラスまでを解説しています。
0歳児クラスでのトイレトレーニングをまとめました。
幼児便器については、園によってはおまるを採用している場合もあります。
0歳児は月齢によっても大きく差があります。
歩行の確立まではオムツ交換の場所をしっかりと定め、「ここではオムツを交換してもらい、きれいになる」と理解できるようにします。
歩行が確立してくる1歳半頃には、オムツが汚れたことを身ぶりや手ぶり、喃語で知らせてくれるようになることもあります。
清潔になったことを知らせ、「おしっこでたのかな」「よく教えてくれたね」などの声をかけ十分に受け止めるようにしましょう。
歩行が確立してからは、少しずつ幼児便器に座る習慣をつけていきます。
このとき排泄ができなくて問題ありません。
大事なのは便器に座っていられることなので、座ったら10を数える、歌をうたうなどして、幼児便器に慣れるようにします。
幼児便器は子どもによっては身長が足りない場合もあるので、踏み台やおまるを活用しましょう。
自分で服を着脱できるようになることも、トイレトレーニングの1つ。
徐々に保育者の援助を減らし、オムツもズボンも自分で履けることができるようにしていきます。
自分でできるようになったら、大いに褒めて自信につなげていきましょう。
1歳児クラスになると、幼児便座を使用する機会がぐっと増えます。
中には便座で排泄に成功したり、自分で排泄を知らせたりする子もでてきます。子どもの様子を見ながら、個々に合わせて援助をしていきましょう。
1歳児クラスのトイレトレーニングのねらいは、幼児便座に慣れること。
トイレに座り、「排泄はトイレでおこなうもの」という意識をつけていきます。
オムツに排泄をしたことを教えてくれる子もでてくるので、活動の半ばでも子どもの思いを尊重し、すぐに取り換えられるようにしましょう。
主活動の前、お昼の前、お昼寝の前、おやつの前など、活動の前にトイレに誘うようにし、幼児便座に座る機会を増やします。
活動前に誘うのは、遊びを中断させないためです。
大人でも作業の途中で声をかけられると困るように、子どもも集中して遊んでいる最中に止められるのは嫌なもの。
活動前にトイレに誘うことで、遊びの中断を防ぐことができます。
幼児便座が1歳児クラスに併設されていない場合は、おまるを活用します。
おまるの場合、衛生面にも気を配る必要があるので、1人が使ったら座面を拭き、排泄物をその都度流して使用するようにしましょう。
おまるはシンプルなものを選んだほうが、子どもが「玩具」と認識しないです。
1歳児クラスになると、排泄のタイミングと幼児便座に座ったタイミングが重なり、トイレで排泄が成功する子がでてきます。
トイレで排泄できたことを大いに褒めて自信につなげ、成功経験を増やしていきましょう。
幼児便座での排泄時、男の子はおしっこを飛ばしてしまうこともあります。
その際にはどこを持てばいいのか、足の開き方はどうするのかを優しく伝え、便座の横に足の位置をサインするのもいいですね。
便座に反対向きに座るのも一つの方法です。
約8割の子が2歳児クラスの最中にトイレトレーニングが完了します。
トイレトレーニングは家庭の協力も不可欠。子どもの様子を細かく伝え、家庭でも一緒に行うことができるようにしていきましょう。
活動の節目でトイレに行くように心がけ、生活の流れや見通しを持って自らトイレに行く習慣が身につくようにしていきます。
お姉さんパンツ、お兄さんパンツにあこがれを持ち、友だちと切磋琢磨しながらトイレトレーニングができるのも保育園ならでは。
子どもの性格を把握して、トイレトレーニングを進めていきましょう。
子ども一人ひとりの排泄のタイミングがつかめる様、活動内容によっては1時間に1回程度トイレに誘うようにします。
その際にトイレ表を活用すると便利です。
オムツに排泄しておらず、トイレでできたら◎、オムツに排泄していてトイレでもできたら〇、オムツに排泄しておらずトイレでできなかったら△、オムツに排泄していてトイレでも出なかったら×のように一人ひとりチェックしていきます。
◎が増えたらパンツに切り替えるなど目で見てわかりやすく、複数担任でも把握がしやすいです。
トイレの間隔をつかんできたら、保育者がトイレに誘うだけではなく、自ら「おしっこがでそう」という感覚をつかんでいけるようにします。
股に手を当てたり、足をもじもじしたりしているのも合図なので、見逃さないようにすると成功体験を増やすことができます。
保育園でどのくらい成功したかを保護者の方と共有するのも大切です。
保育者だけではなく保護者の方も一緒に子どもの頑張りを認めていきましょう。
排泄の成功体験が増えてきたら布パンツにも挑戦していきます。
最初は短時間から行い、徐々に1日布パンツで過ごせるように時間を伸ばしていきましょう。
たとえ漏らしてしまっても叱るのではなく、「今度は教えてくれるとうれしいな」と優しく声をかけてくださいね。
女児は尿・便ともに前から後ろに向かって拭くように伝えていきます。
拭くために使用するトイレットペーパーも、使用する長さが分かるように、事前に適度に切って準備しておいたり、トイレットペーパーのホルダーに長さがわかるようなイラストを用意しておいたりすると子どもも理解しやすいです。
事前に切っておく場合はウォールポケットなどを利用すると便利です。
布パンツに挑戦している友だちを見て、自分もやりたいと意欲的になる子。
失敗することが怖くて布パンツで漏らしたらもう挑戦したくないという子。
1度漏らしたら理解し、次からは絶対漏らさないと決意する子……。
子どもの性格によって捉え方はさまざまです。
布パンツに切り替えるときは子どもの性格も考慮してみましょう。
失敗が多い子でも、意外と布パンツに切り替えて漏らす経験をしたほうが理解が早いこともあります。
保育者が排泄に誘うときやパンツを嫌がるとき、どのような声掛けをすればいいでしょうか。
トイトレが進まずイライラしてしまうこともあるかもしれませんが、子どもの自尊心を傷つけたり、強く怒鳴ることはやめましょう。
トイレトレーニングは保育園に任せればいいと考えている保護者の方も一定数います。
保育園にいる時間のほうが家庭にいる時間より長いため、主導になってしまうことは否めませんが、トイレトレーニングには保護者の方の協力も必要不可欠です。
おたよりや懇談会などで、トイレトレーニングについて家庭の協力も得られるようにしておきましょう。
保育園ではパンツで過ごしていても、休日の家庭ではオムツで過ごす……となると、子どもも混乱してしまいます。
保育園で頑張っても家でやらないのであれば、楽なオムツを選んでしまいがち。平日は時間が無くて大変でも、休日はできるだけパンツで過ごすことができるよう、保護者の方に伝えておきましょう。
「今日はトイレで〇回排泄ができた」「おしっこがでそうって言えたんですよ」と保育園の様子は保護者の方にも細かく伝えていきましょう。
そして「おうちではどうですか?」と家庭の状況も聞き、アドバイスをしていけるといいですね。
トイレトレーニングの成功の近道は家庭との連携。
失敗したことも成功したことも明確に伝え、保護者の方と協力して取り組んでいきましょう。
トイレトレーニングについて年齢別の取り組み方や家庭との連携についてまとめました。
トイレトレーニングで頑張っているのは大人側と思ってしまいがちですが、一番頑張っているのは子ども自身です。
子どもが自分で排泄できる環境を整え、援助をしていくという気持ちが大切です。
子どもの失敗にイライラして怒鳴ったり、子どもの気持ちを傷つけるのは逆効果です。保護者の方と連携しながら、子どもの排泄の完了を目指していきましょう。
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