保育士の退職の理由で多いと言われているのは職場の人間関係です。
そこで、この記事では保育士のいじめ問題について詳しく解説していきます。
保育現場においてどれくらいいじめ(人間関係の問題)があるのか、
嫌がらせやいじめがはじまるきっかけを考え、
保育士いじめから抜け出す方法について解説していきます。
一部では「保育士はいじめが多い」と言われていますが、本当なのでしょうか?ここでは、保育園における保育士同士の人間関係の実態をみていきます。
厚生労働省のデータによると、
「就業している保育士における現在の職場の改善希望」の中で、
「職員間のコミュニケーション」が20.3%でした。
つまり、人間関係に悩んでいる保育士が多いということです。
人間関係の悩みの中には、いじめに発展しているケースもあるでしょう。
【参考】厚生労働省「保育士における現在の職場の改善希望状況」
なぜ、保育現場でいじめが多いと言われているのでしょうか?
理由はいくつか考えられますが、
特に大きな要因は「女性が多い閉鎖的な空間であること」です。
厚生労働省のデータでは、保育現場全体の女性の割合は、95.8%でした。
すべての職場が当てはまるわけではありませんが、女性しかいない職場では人間関係のいざこざが起きやすい傾向があります。
嫉妬や派閥争い、マウントなどがその例です。
もちろん男性が多い職場でそういったことがないというわけではありませんが、特に女性は雑談や世間話など、積極的にコミュニケーションを好む人が多く、
ちょっとしたことが原因で、人間関係がこじれる可能性が高いのです。
【参考】保育士の現状と主な取組
また保育園は基本的に異動や転勤がありません(公立保育園は除く)。
そのため退職や新卒入社を除いて、
基本的に人の出入りが少なく閉鎖的な空間になっています。
保育職は職員同士の連携が必須なので、職員同士の関係も密になりがちです。
複数担任制もありますし、イベントの際は職員全員が協力して準備を進めなければなりません。
それも人間関係がこじれやすくなる原因でしょう。
保育士間でいじめが始まるきっかけは、いくつかあります。
ここでは、大きく3つのきっかけといじめの実例を含めて紹介します。
上記3つのきっかけと実例から、いじめ問題の原因や防止対策を考えていきましょう。
保育士間のいじめが始めるきっかけの中で、
特に多いのが「仕事のミス」です。
ミスは誰でもあることですが、
保育現場は子どもの命を預かっているので、ちょっとしたミスが大きな事故につながる可能性があります。
そのため、現場がピリピリしたムードになってしまい、
「ミスした人を許さない」という雰囲気が生まれやすくなってしまうのです。
とくに新人保育士の場合は目をつけられる対象なので、周囲から孤立しやすくなってしまいます。
仕事でミスをした日から、
周りの態度が急変して、仕事を教えてもらえなくなりました。
新しい仕事をするときに、先輩へ質問しても「前にも教えた」の一点張り。
結局一人で仕事に取り組んでもミスが続き、職場で孤立してしまいました。
ミスをして以来、必要以上にダメ出しされるようになりました。
もちろん、ミスをしたことは反省していますが、
ミスしたことを何度も言われてつらいです。
そのうち、ミス以外のことまでダメ出しされるようになりました。
ほかの先輩たちには注意しないのに、私だけにダメ出しをするので、
とても仕事がしづらいです。
大切な行事を休んだ場合も、いじめにつながる可能性があります。
保育園では、お誕生日会やクリスマス会、夏祭りやお遊戯会など、さまざまなイベントを行います。
しかし、風邪やインフルエンザにかかってしまった場合は、休まなければなりません。
しっかり自己管理をしていても、体調を崩してしまうときはあります。
体調不良が理由でも、行事を休んだことに対して快く思わない保育士がいるのも事実です。
クリスマス会をインフルエンザで休んでしまったときのこと。
職員全員に謝罪した後、イベントの様子や、子どもたちの様子を質問したら、「休んだ人には教えない」と何も教えてくれませんでした。
大切なお遊戯会を胃腸炎で休んだ日から、
周囲の保育士から無視されるようになりました。
もちろん、原因はイベントを休んだことです。
謝罪もしたし、体調不良が原因なので、「そこまでしなくても…」と落ち込んでしまいました。
無視は一時的なもので、その後はなくなりましたが、
あのときの恐怖が残って、なかなか仕事を休めません。
休みやすい職場への転職を考えています。
こちらにそんなつもりがなくても、周りの反感を買っている場合もあります。
たとえば、仕事を任されたときに「はい、分かりました」と返事をしただけなのに、無表情だと「やる気がない」「態度が悪い」と思われてしまうケースもあります。
また保育中の忙しい時間に話しかけられ、相手の声が聞こえなかった場合、相手が「無視された」と感じる可能性もあるでしょう。
風邪気味で疲れ切っていたときのこと。
声をかけられても、明るく受け答えができませんでした。
それが癇に障ったらしく、先輩保育士から「あの人、私のこと嫌いみたい。ひどい」「にらまれた」と陰口を言われました。
その後、弁明して納得してもらえましたが、正直、今も気まずいままです。
本当に受け取り方って人それぞれだなあと痛感しました。
子どもと一緒に園庭で鬼ごっこをしていたときに、
教室の窓から先輩に呼ばれました。
先輩は子どもの保護者の方がお迎えに来たと伝えたかったようです。
しかし、遊んでいる最中でしたし、園庭は子どもたちの声が行き交っていたので、先輩の声が聞こえませんでした。
すると、先輩が保護者の方と園庭にやってきて、私を叱りました。
保護者の方も気まずそうにしていました。
聞こえなかった私も悪いのですが、もっとほかに方法があるのでは?と思います。
保育士間のいじめ問題を解決する方法は、主に4つあります。
もしも人間関係でトラブルがあったら、それぞれの方法にそって、解決へと動いていきましょう。
罵声を浴びせられたり、パワハラなどをうけたときは、小型のボイスレコーダー、もしくはスマホの録音機能を使って、音声を録音しましょう。
録音できない場合は、いじめがあった日時や場所、そのときの状況などをノートに記録しましょう。
そういった記録は立派な「証拠」になります。
いくらいじめの実態を組織の上層部や専門機関に相談したとしても、
証拠がなければ話を信じてもらいにくいでしょう。
証拠があれば、信頼性も高くなりますし、上司や専門機関が早急に対応してくれる可能性も高くなります。
嫌な仕事や理不尽な要求をされた場合は、きっぱり断ることも大切です。
本来ならば、ほかの保育士が担当すべき仕事を押し付けられたときや、
突然「○○しといてね」とやったこともない仕事を任されたときが例として挙げられます。
そこで「分かりました」と受け入れてしまうと、その後も同じことをされてしまうでしょう。
一度きっぱりと断るか、「理由を聞かせてください」「初めてする仕事なので、やり方を教えてくださいませんか?」と堂々と相手に接することが重要です。
「いつまでも言われっぱなしではない」と相手に伝われば、あなたを攻撃してこなくなるかもしれません。
ただ、あまりにも好戦的な態度で対応してしまうと、事態が悪化する可能性もあります。最低限のマナーと誠意を見せて対応しましょう。
特定の保育士との関係が上手くいっていないときや、
複数の保育士から無視されている場合は、信頼できる上司に相談するのもおすすめです。
保育園内で相談できる上司がいない場合は、
アドバイザーやエリアマネージャー、そのほか社内に設けられた相談機関などへ相談しましょう。
事態が好転しない場合は、人間関係のよい職場へ転職するのも一つの選択肢です。
保育園の中には、風通しのよい現場もあります。
保育士の人数が多い保育園もおすすめです。
人間関係が密にならず、いじめに発展しにくくなります。
ただ、人間関係の良し悪しは通常の求人では分かりません。
そんなときは、信頼性の高い転職サイトや、転職エージェントを利用しましょう。
保育現場は命を預かっている現場なので、常に緊張感があります。
そのため、失敗が許されない雰囲気があります。
女性が多く閉鎖的な空間なので、なおさら人間関係がこじれやすい傾向があります。
いじめがあった場合は、録音したり記録を取ったりして、証拠を残してから専門機関に相談しましょう。
また、人間関係がよい職場へ転職するのもおすすめです。
転職サイトや転職エージェントを利用して、あなたに合った職場を見つけてくださいね。
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