病院で働く人の育児を支援するために「病院内保育」と呼ばれる保育施設があります。
院内保育は保育士の職場として人気があると言われています。
そこで、この記事では院内保育で働く保育士の仕事内容をご紹介いたします。
また、保育園で働く保育士や病棟保育士との違い、メリットも解説していきます。
院内保育とは、病院で働く医師や看護師が子どもを預けるために、病院内や病院の敷地内に併設された保育施設です。
医師や看護師は夜間の勤務があり、シフトの変動もあります。
通常の保育園に預ける場合、どんなに延長しても保育園時間外になってしまうでしょう。
しかし、院内保育園ならほとんど24時間体制で運営しているので、深夜でも子どもを預けることができます。
また職場に近い場所に設置されているので、送り迎えの手間もかかりません。
医師や看護師が安心して仕事に専念するため、院内保育は必要な保育形態なのです。
保育士の求人でも人気が高まっている「院内保育」。
ここでは、院内保育で働く保育士の一日のスケジュールや、主な仕事内容をご紹介いたします。
院内保育園で働く保育士の一日のスケジュール例をまとめてみました。
時刻 |
子どもの動き |
保育士の動き |
8:00 |
随時登園 |
子どもの受け入れ・視診 |
9:00 |
自由遊び |
受け入れ対応・子どもの見守り |
10:00 |
朝の会・おやつ |
朝の会の進行・おやつ準備 |
10:30 |
散歩・主活動 |
散歩・主活動の援助 |
11:30 |
給食 |
給食準備・食事援助 |
12:30 |
午睡 |
午睡援助・連絡帳記入 |
14:30 |
起床 |
検温・トイレの援助・オムツ替え |
15:00 |
おやつ |
おやつ |
15:30 |
自由遊び |
自由遊びの見守り |
16:00 |
帰りの会 |
帰りの会の進行 |
17:00 |
順次降園 |
お迎え対応 |
18:30 |
夕食 |
夕食準備・援助 |
19:30 |
清拭(せいしき)・着替え |
清拭(せいしき)・着替えの援助 |
20:00 |
就寝 |
就寝援助 |
7:00 |
起床、朝食 |
起床、朝食の準備・援助 |
基本的な流れは一般的な保育園と同じです。
ただ、17:00以降は夕食の準備や、就寝・起床の援助など、ほかの保育園にはない業務が入ってきます。
院内保育で働く保育士の主な仕事内容は、次の通りです。
「院内保育=託児所のような雰囲気」とイメージしている方も多いでしょう。
もちろん、託児所のように自由な雰囲気の院内保育もありますが、基本的には散歩や主活動、自由遊びを取り入れた「保育」が行われています。
もちろん、食事や排泄、着替えの補助も含まれます。
ただ、夜に清拭(せいしき)や子どもの寝かしつけ、翌日は朝食の援助なども行うので、業務の種類は多いと言えるでしょう。
一般的な保育園と院内保育の違いは、大きく分けて6つあります。
今後の職場選びの参考として、それぞれの違いをチェックしていきましょう。
院内保育では、24時間体制で運営しているケースがほとんどです。
基本的には、朝8:00に開園して、そのまま翌朝8:00に受け入れを開始します。
一般的な保育園では、8:00に開園して18:00に閉園するので、およそ12~14時間の差があります。
院内保育は開園時間が長いので、保育士は交代制で勤務します。シフトは「日勤」「夜勤」の2つに分かれているのが特徴です。
夜勤は拘束時間が長いのですが、仮眠の時間があるので、実働時間はそこまで長いまでではありません。
院内保育園の中には、1日の実働時間を長くする代わりに、週休3日制にしている施設もあります。
また、夜間の開園がなく、昼間の保育しか実施していない園や、夜勤が月に数回しかない園も少なくありません。
病院の働き方や院内保育の運営方針によって勤務形態は変わるので、事前に求人内容をチェックしておきましょう。
夜間・早朝保育があるのも院内保育の特徴です。
通常の保育園の場合、延長保育でも18:00~21:00には閉園します。
しかし、院内保育では翌朝まで勤務します。
大変そうに思えますが、夜勤のシフトの場合、夕方~翌朝の出勤なので午前~夕方までの時間は自由に過ごせるのがポイントです。
院内保育に通う子どもの登園時間は、保護者の方の勤務時間によって変動します。
たとえば、保護者の方が夜勤なら、子どもは17:00~18:00あたりに登園します。
別の日、保護者の方が日勤であれば、子どもの登園時間は8:00です。
このように、日によって子どもの登園時間にばらつきがあるのが、院内保育の特徴です。
そのため、毎日登園時間を確認しておく必要があります。
事前に登園時間を把握しておくことで、スムーズな受け入れができるでしょう。
多くの院内保育では、年齢ごとにクラスが分かれているのではなく、さまざまな年齢の子どもが同じ空間で過ごす「異年齢保育」が実施されています。
基本的に、0~5歳児までを受け入れていますが、施設によっては特定の年齢の子どもが多い(もしくは少ない)ケースもあるでしょう。
異年齢保育と聞くと「大変そう」と感じる方もいるかと思いますが、院内保育は多くが少人数制なので、大規模の保育園とは違ったメリットがあります。
夜勤がある院内保育の場合、「深夜割増賃金」という手当金が付与されるので、通常の保育園よりも給料が高いケースがあります。
深夜割増賃金とは、労働基準法にて定められた賃金のことです。
一般的に「深夜手当」とも呼ばれています。
【労働基準法 第37条 時間外、休日及び深夜の割増賃金】
時間外、深夜(原則として午後10時~午前5時)に労働させた場合には2割5分以上、法定休日に労働させた場合には3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。
【参考】労働基準法
つまり、22:00~翌朝5:00までの間に勤務した場合は、通常の賃金に25%以上割り増しされた賃金が支払われます。
ちなみに、割増賃金額の計算方法は、以下の通りです。
施設によっては、「夜勤手当」が支給される場合もあります。
夜勤手当とは、法律で定められたものではなく、雇用主が時間・金額を決めて支給する手当です。
支給は必須ではありませんが、夜勤手当が支給される院内保育も少なくありません。
休日も開業している病院では、院内保育も休日に開園していることがほとんどです。
不定休なので、土日休みがほしい方や常に連休を取りたい方は、希望に合わないかもしれません。
もちろん、病院が休みの日や長期休暇期間中は、院内保育も休園します。
あらかじめ病院の定休日を確認しておきましょう。
院内保育で働くメリットは主に5つあります。
転職先の候補として、それぞれのメリットを把握していきましょう。
ほとんどの院内保育は定員19人以下の「小規模保育園」なので、子ども一人ひとりとじっくり向き合えます。
大規模保育園の場合は、子どもの人数が多く、クラス全員の子どもとまんべんなくかかわることが難しいでしょう。
しかし、院内保育なら「狭く深く」の保育が可能です。
子どもとの距離も近いので、やりがいを感じられるでしょう。
イベントが少ないことも、院内保育のメリットの1つです。
院内保育は病院内、もしくは病院の敷地内に併設されているので、園庭や体育館がないケースがほとんどです。
そのため、運動会やお遊戯会などの大きなイベントが少ない傾向にあります。
イベントの企画や準備の業務にかかる負担が軽いでしょう。
院内保育は子どもの人数が少なく、イベントも多くないので、サービス残業や持ち帰りの仕事も基本的にありません。
夜勤がない病院なら、保護者である医師や看護師が退勤する時間に院内保育も閉園します。
そのため、「周りの保育士が残業しているから、何となく帰りづらい」という雰囲気もありません。
院内保育は深夜割増賃金(深夜手当)や夜勤手当があるので、一般的な保育園よりも給料が高い傾向にあります。
ボーナスの金額が高く設定されている施設も少なくありません。
院内保育は通常の保育園と勤務する時間帯は違うものの、基本的な実働時間は同じなので、「給料が高い施設」を探している人にはおすすめです。
院内保育は病院内、もしくは病院の施設内に併設されているので、保護者である医師や看護師とすぐに連絡が取れます。
もちろん状況によって、なかなか連絡が取れないこともあります。
ただ、院内保育と保護者の方の職場(病院)が近いので、子どものけがや体調不良の場合は、すぐにお迎えが来るでしょう。
院内保育とは、病院で働く医師や看護師が子どもを預ける施設です。
ほとんどが病院内か病院の敷地内に施設があります。
基本的な仕事内容は一般的な保育園と変わりませんが、夜勤・早朝保育があり、異年齢保育で少人数制という特徴があります。
イベントが少なく、深夜割増賃金があるので、「自分の時間を自由に使いたい」「給料が高い施設で働きたい」という方にはおすすめの職場です。
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