健康的な生活を営むために、食事はとても大切です。子どもたちがその大切さに気づくためにも「食育」はとても重要です。現在、保育園でも食育に関して重要視されていますが、実際の食育活動がどのようなものなのか分からない保育士もいるのではないでしょうか。
今回は保育園における食育活動について、ねらいや食育活動のメリットを紹介します。さらに、これからの食育活動がさらに実りのある活動となるために、食育活動の実践のポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
保育の現場では当たり前のように食育という言葉を聞きます。保育園ごとに食育に関する考え方も違うためさまざまな取り組みが見られます。そのため、保育士も食育に対しての迷いがあるのではないでしょうか。ここでは食育の定義についてもう一度確認し、保育園ではどのような食育活動が行われているか紹介します。
農林水産省では食育を「生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けられるとともに、様々な経験を通じて『食』に関する知識と『食』を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるもの」と定義しています。
保育園ではこの定義を理解し食育活動を行わなければなりません。さらに、厚生労働省からも「保育所における食育に関する指針」が出ています。その中で保育所における食育の目標を「現在を最もよく生き、かつ生涯にわたって健康で質の高い生活を送る基本として『食を営む力』の育成に向け、その基礎を培うこと」としています。
そのため楽しく食べる子どもに成長していくことを期待し、以下の子ども像の実現を目指しています。
このように食育に関して国からの定義や指針が出ていることを理解し、その考え方に沿った活動を行わなければならないことを忘れないようにしましょう。
食育活動は子どもの年齢に合わせて変化をさせる必要があります。離乳食の子どもと幼児食の子どもが同じ食育活動ができないことは理解できるはずです。その年齢に合わせた食育活動を行うことが必要です。
具体的な食育活動として多くの園で取り入れているのが野菜を育て調理をする活動です。では、このことが本当に食育活動なのでしょうか。育てることを通して、何を学び、調理をするためにどんなねらいを持つかを明確にすることが正しい食育活動へとつながっていきます。
野菜の名前や種類を知ることが、次に何につながるのかまで保育士は計画しておく必要があります。
【参考】
農林水産省「食育」とは 保育所における食育の推進
厚生労働省 楽しく食べる子どもに〜保育所における食育に関する指針〜 p1p4
厚生労働省では食育活動に対して年齢別のねらいを示しています。もちろん子どもの発達においてこのねらいがぴったり合う子どもだけではないということも理解しておく必要がありますが、ねらいを知っておくことで食育活動としてやるべきことが見えてくるのではないでしょうか。
6ヶ月未満は、まだミルクを飲んでいる頃です。そのためねらいも以下のようになっています。
たくさん遊び、お腹がすいたら保育士とゆったりした時間の中で落ち着いて授乳をすることが愛着の基礎となることを忘れないようにしましょう。
離乳が始まってくるとねらいも以下のように変わってきます。
このようなねらいを達成するためにもミルク以外の食べ物に関心を持てるような言葉がけなどが大切になってきます。
離乳から幼児食への移行期であるため、きめ細やかな対応が必要になってきます。そのためねらいにおいてもかなりの変化があることを覚えておきましょう。
歯の生え方も個人差があるため、一人ひとりの発達に応じた食育活動になるようにしましょう。
この頃になると一人で食べられる子どもも多くなってきます。そのため食器やカトラリーなども使いやすいものを用意し、食に対して意欲的になるように環境を整えることも大切です。食事だけでなく、習慣や態度に対してもねらいを持つように示されています。
ここからの年齢は食を通してさまざまなねらいを持つようになります。「食と健康」として
「食と人間関係」では
「食と文化」
「いのちと育ちと食」
「料理と食」
このようにたくさんのねらいを持つ3歳児以上では、保育士が適宜ねらいに合わせた食育活動をする必要があるでしょう。
ここまで食育活動とはどういうものか、どのようなねらいを持って活動をすべきかをお伝えしてきました。では食育活動の具体的なメリットとはどういうことなのでしょうか。
ここからは食育活動のメリットについてお伝えします。食育活動のメリットを十分に感じて食育活動に取り組んでみてください。
食が生きる上で大切であることを食育によって知ることができます。健康的な生活を送るためにはどのような食事であるべきか、また、規則正しい食生活をおくるために必要なことはなにか、など食育活動を通して多くの経験することができます。さらに食事のマナーなどを知ることで生きていくために必要な知識などを身につけることができます。
食育活動を通して、食べる楽しさも同時に経験することができます。自分で作ったものや、作ってもらったものを、みんなで楽しみながら食事することができます。みんなで食べたいと思う気持ちを育むことこそが食育活動の大きなメリットになります。
おいしいな、苦手だななどと子どもたちが自分の言葉で伝えやすいのが食育活動です。さらに多数決などで野菜の味を決めることもないため、子どもは自分の意見をもちやすく、伝えやすくなります。これは食育だけでなく普段の保育でも本来大切にしなくてはならないところです。
そのため、食育活動をきっかけとして自分の言葉で伝えることの大切さを経験することはメリットのひとつといえるでしょう。
食育活動は普段から行っている保育施設においても、実践に対してポイントを押さえることで、より効果的な食育活動が可能になるはずです。ここでは食育活動を実践する際のポイントについて説明していきます。
食育活動は保育園でおこなうだけではなく、家庭でも同じような考えのもと行っていくことが望まれます。そのためにも家庭との連携ができるような食育活動にしましょう。授業参観日に食育活動を設定したり、食育活動を行ったりした日はお手紙で内容をお伝えしてください。保育園でも家庭でも同じように食に対する意識をもつことで、食育活動はさらに実りのあるものになっていきます。
食育活動の際にはアレルギーについてしっかりと把握しておく必要があります。普段給食で食べないようなものについてもアレルギーはあるのか、ないのか、事前に確認をしっかりしておきましょう。楽しい食育活動は念入りな準備によって成り立ちます。
保育園で食育活動をする際に、資格があることでより充実したものもなります。現在では食育に関する資格もあるため、ここではその資格について紹介していきます。
食についての栄養や安全性などの知識を身に付けられる資格です。生活習慣病や調理法などの技術についても学ぶため、持っておくと役にたつ資格です。実務経験も必要ないので資格取得を考えてみるとよいでしょう
食育インストラクターと食育スペシャリストの1番の違いは食事に対するマナーや食材の専門的な知識を身につけられるところです。級によっては通信教育なども利用できるため、働きながらでも資格取得が可能でしょう。
資格取得に際して、食事に対しての基礎知識や調理法などを学ぶ必要があります。アレルギーに対しての対処法についても勉強するため実践でとても役にたつ資格です。子どもの発育や健康などについても学びが深まる資格です
食育をすることで、保育活動を行っているような気持ちになってしまうこともあるかもしれません。ただし、食育活動はゴールではなく、食育活動を使ってなにかを学ぶことを大切にしていきましょう。積極的に食育活動をしている園もあります。
自分が食育活動に力を入れている園で働きたいと考えた時はぜひジョブトル保育にご相談ください。あなた合った素敵な園を紹介させていただきます。
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